直木賞

2019

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熱源

川越宗一
降りかかる理不尽は「文明」を名乗っていた。 樺太アイヌの闘いと冒険を描く前代未聞の傑作! 樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。 開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘や...
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渦妹背山婦女庭訓魂結び

大島真寿美
筆の先から墨がしたたる。やがて、わしが文字になって溶けていく── 虚実の渦を作り出した、もう一人の近松がいた。 江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。 大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成...

2018

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宝島

真藤順丈
第160回直木賞受賞! 希望を祈るな。立ち上がり、走り出せ。愛は囁くな。大声で叫び、歌い上げろ。信じよう。仲間との絆を、恋人との愛を。美しい海を、熱を、人間の力を。あらすじ/英雄を失った島に、新たな魂...
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ファーストラヴ

島本理生
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の...

2017

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銀河鉄道の父

門井慶喜
第158回直木賞受賞作、待望の文庫化! 『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』など数多くの傑作を残してきた宮沢賢治。 清貧なイメージで知られる彼だが、その父・政次郎の目を通して語られる彼はひと味違う。 ...
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月の満ち欠け

佐藤正午
選考委員たちを唸らせた熟練の業。第一五七回直木賞受賞作、待望の文庫化。(特別寄稿:伊坂幸太郎)...

2016

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蜜蜂と遠雷

恩田陸
3年毎に開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。名門ジュリアードのマサル・C・レヴィ・アナトール。音大出身だが、今は楽器店勤務のサラリーマン・高島明石。かつて天才少女として謳われたが、演奏活動から離れて...
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海の見える理髪店

荻原浩
店主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが...「海の見える理髪店」。独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。...

2015

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つまをめとらば

青山文平
第154回(2016年)直木三十五賞 女という圧倒的リアル! 直木賞受賞作 去った女、逝った妻……瞼に浮かぶ、獰猛なまでに美しい女たちの面影はいまなお男を惑わせる。 江戸の町に乱れ咲く、男と女の性と業...
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東山彰良
一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で? 無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。激動...

2014

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破門

黒川博行
第151回直木賞を受賞した、エンタメ小説の最高峰。...
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サラバ!

西加奈子
僕はこの世界に左足から登場した―。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚...

2013

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恋歌

朝井まかて
【第150回直木賞受賞作】葉室麟氏絶賛!女性はこれほどまでに恋を抱いて生きるのか。樋口一葉の歌の師匠として知られ、明治の世に歌塾「萩の舎」を主宰していた中島歌子は、幕末には天狗党の林忠左衛門に嫁いで水...
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昭和の犬

姫野カオルコ
昭和三十三年滋賀県に生まれた柏木イク。気難しい父親と、娘が犬に咬まれたのを笑う母親と暮らしたのは、水道も便所もない家。理不尽な毎日だったけど、傍らには時に猫が、いつも犬が、いてくれた。平凡なイクの歳月...
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ホテルローヤル

桜木紫乃
北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く―。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。ア...

2012

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等伯

安部龍太郎
国宝「松林図屏風」は、なぜ描かれたのか―天下一の絵師をめざし、三十一歳で能登の七尾から京へ。信長・秀吉の時代に頂点をきわめた狩野永徳のけんらん豪華な画風に、ひとりたたかいを挑んだ男がいた。身近な者の非...
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何者

朝井リョウ
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから―。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を...
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鍵のない夢を見る

辻村深月
望むことは、罪ですか? 誰もが顔見知りの小さな町で盗みを繰り返す友達のお母さん、結婚をせっつく田舎体質にうんざりしている女の周囲で続くボヤ、出会い系サイトで知り合ったDV男との逃避行──。普通の町に生...

2011

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蜩ノ記

葉室麟
豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室との密通の廉で家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。編纂...
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下町ロケット

池井戸潤
ロケットから人体へ―佃製作所の新たな挑戦!前作から5年。ふたたび日本に夢と希望と勇気をもたらすエンターテインメント長編!!...

2010

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漂砂のうたう

木内昇
御一新から10年。武士という身分を失い、根津遊廓の美仙楼で客引きとなった定九郎。自分の行く先が見えず、空虚の中、日々をやり過ごす。苦界に身をおきながら、凛とした佇まいを崩さない人気花魁、小野菊。美仙楼...
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月と蟹

道尾秀介
注目度ナンバー1の著者による少年小説の傑作! 「ヤドカミ様に、お願いしてみようか」「叶えてくれると思うで。何でも」──家にも学校にも居場所が見つけられない小学生の慎一と春也は、ヤドカリを神様に見立てた...
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小さいおうち

中島京子
昭和6年、若く美しい時子奥様との出会いが長年の奉公のなかでも特に忘れがたい日々の始まりだった。女中という職業に誇りをもち、思い出をノートに綴る老女、タキ。モダンな風物や戦争に向かう世相をよそに続く穏や...

2009

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ほかならぬ人へ

白石一文
「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」...妻のなずなに裏切られ、失意のうちにいた明生。半ば自暴自棄の彼はふと、ある女性が発していた不思議な“徴”に気づき...
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廃墟に乞う

佐々木譲
仙道孝司は北海道警・捜査一課の敏腕刑事だったが、任務がもとで罹ったPTSDのため、休職を命じられている。ようやく回復してきた頃、かつて札幌で起きた殺人事件と同じ手口で、千葉でデリヘル嬢が殺された。これ...
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鷺と雪

北村薫
昭和十一年二月、運命の偶然が導く切なくて劇的な物語の幕切れ「鷺と雪」ほか、華族主人の失踪の謎を解く「不在の父」、補導され口をつぐむ良家の少年は夜中の上野で何をしたのかを探る「獅子と地下鉄」の三篇を収録...

2008

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悼む人

天童荒太
直木賞受賞作『悼む人』の感動ふたたび! 新聞の死亡記事を見て、亡くなった人を亡くなった場所で「悼む」ために、全国を放浪する坂築静人。死者の周辺の人々から疎んじられ、罵声を浴びせられることもあるが、時に...
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利休にたずねよ

山本兼一
おのれの美学だけで秀吉に対峙し天下一の茶頭に昇り詰めた男・千利休。その艶やかな人生を生み出した恋とは。第140回直木賞受賞作。...
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切羽へ

井上荒野
かつて炭鉱で栄えた離島で、小学校の養護教諭であるセイは、画家の夫と暮らしている。奔放な同僚の女教師、島の主のような老婆、無邪気な子供たち。平穏で満ち足りた日々。ある日新任教師として赴任してきた石和の存...

2007

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吉原手引草

松井今朝子
なぜ、吉原一を誇った花魁葛城は、忽然と姿を消したのか?遣手、幇間、楼主、女衒、お大尽―吉原に生きる魑魅魍魎の口から語られる、廓の表と裏。やがて隠されていた真実が、葛城の決意と悲しみが、徐々に明らかにな...
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私の男

桜庭一樹
私は腐野花(くさりの・はな)。着慣れない安いスーツを身に纏ってもどこか優雅で惨めで、落ちぶれた貴族のようなこの男の名は淳悟(じゅんご)。私の男、そして私の養父だ。突然、孤児となった十歳の私を、二十五歳...

2006

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まほろ駅前多田便利軒

三浦しをん
「ここも一応、東京なんだがな」と言われてしまう“まほろ市”は、東京のはずれの大きな町だ。まほろ駅前で、ひとり便利屋を営む多田啓介のもとに、高校の同級生・行天春彦が転がりこんだ。高校時代、教室でただ1回...
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風に舞いあがるビニールシート

森絵都
あたたかくて力強い、第135回直木賞受賞作。 才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだ...

2005

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容疑者Xの献身

東野圭吾
累計290万部突破。直木賞を受賞した大ベストセラー! 天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知っ...
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花まんま

朱川湊人
母と二人で大切にしてきた幼い妹が、ある日突然、大人びた言動を取り始める。それには、信じられないような理由があった...(表題作)。昭和30~40年代の大阪の下町を舞台に、当時子どもだった主人公が体験し...

2004

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対岸の彼女

角田光代
いじめで群馬に転校してきた女子高生のアオちんは、ナナコと親友になった。専業主婦の小夜子はベンチャー企業の女社長・葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始める。立場が違ってもわかりあえる、どこかに...
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空中ブランコ

奥田英朗
跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り。刃物はおろか机の角まで怖い尖端恐怖症のやくざ。ダンディーで権力街道まっしぐら、の義父のカツラを剥がしたくてたまらない医者。伊良部総合病院地下の神経科には、今日...
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邂逅の森

熊谷達也
秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。鉱山で働くものの山と狩猟への思いは断ち切れず、再びマタギとして生きる。失われつつ...

2003

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号泣する準備はできていた

江國香織
私はたぶん泣きだすべきだったのだ。身も心もみちたりていた恋が終わり、淋しさのあまりねじ切れてしまいそうだったのだから―。濃密な恋がそこなわれていく悲しみを描く表題作のほか、17歳のほろ苦い初デートの思...
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後巷説百物語

京極夏彦
直木賞受賞作がついに文庫で登場...
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4TEEN

石田衣良
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だ...
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星々の舟

村山由佳
禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄、そして父は戦争の傷痕を抱いて―愛とは、家族とはなにか。こころふるえる感動の物語。...

2002

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生きる

乙川優三郎

2001

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あかね空

山本一力
希望を胸に、身一つで京都から江戸へくだった豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉と、それを支えるおふみはやがて夫婦となった。固く大きい江戸の豆腐と、やわらかで小さい京風の豆腐。好みの違いに悩みながら...
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肩ごしの恋人

唯川恵
欲しいものは欲しい、結婚3回目、自称鮫科の女「るり子」。仕事も恋にものめりこめないクールな理屈屋「萌」。性格も考え方も正反対だけど二人は親友同士、幼なじみの27歳。この対照的な二人が恋と友情を通してそ...
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愛の領分

藤田宜永
妻に先立たれ、一人息子を育てながら静かに仕立て屋を営む中年の男。28年ぶりに突然現れた、かつての親友。その妻で、むかし男が恋焦がれた女。そして35年ぶりに訪れた故郷で出会い、男が年齢差を超えて魅かれる...

2000

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ビタミンF

重松清
炭水化物やタンパク質やカルシウムのような小説があるのなら、ひとの心にビタミンのようにはたらく小説があったっていい。そんな思いを込めて、七つの短いストーリーを紡いでいった。Family、Father、F...
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プラナリア

山本文緒
「何もかもが面倒くさかった。生きていること自体が面倒くさかったが、自分で死ぬのも面倒くさかった。だったら、もう病院なんか行かずに、がん再発で死ねばいいんじゃないかなとも思うが、正直言ってそれが一番恐か...
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GO

金城一紀
広い世界を見るんだ——。僕は《在日朝鮮人》から《在日韓国人》に国籍を変え、民族学校ではなく都内の男子校に入学した。小さな円から脱け出て、『広い世界』へと飛び込む選択をしたのだ。でも、それはなかなか厳し...
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虹の谷の五月

船戸与一
少年は慟哭の叫びを封印し、あふれる想いを胸に沈める。高らかに謳う、誇りと希望の叙事詩。新世紀の冒険小説の指標、ここに完成。...

1999

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長崎ぶらぶら節

なかにし礼
長崎・丸山遊里の芸者愛八が初めて本当の恋をしたのは、長崎学の確立を目指す研究者・古賀十二郎だった。「な、おいと一緒に、長崎の古か歌ば探して歩かんね」。古賀の破産を契機に長崎の古い歌を求めて苦難の道を歩...
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王妃の離婚

佐藤賢一
1498年フランス。時の王ルイ12世が王妃ジャンヌに対して起こした離婚訴訟は、王の思惑通りに進むかと思われた。が、零落した中年弁護士フランソワは裁判のあまりの不正に憤り、ついに窮地の王妃の弁護に立ち上...
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柔らかな頬

桐野夏生
私は子供を捨ててもいいと思ったことがある——。 衝撃のラストが議論を呼んだ直木賞受賞作。 カスミには、家出して故郷の北海道を捨てた過去がある。 だが、皮肉にも北海道で幼い娘が失踪を遂げる。 じつは夫の...

1998

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理由

宮部みゆき
東京都荒川区の超高層マンションで起きた凄惨な殺人事件。殺されたのは「誰」で「誰」が殺人者だったのか。そもそも事件はなぜ起こったのか。事件の前には何があり、後には何が残ったのか。ノンフィクションの手法を...
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赤目四十八瀧心中未遂

車谷長吉
東京から流れつき、どこに行くあてもない「私」は日の当たらない蒸し暑いアパートの一室でモツを串に刺し続けた。向いの部屋に住む女の背中一面には、極楽の鳥、迦陵頻伽(カリョウビンガ)の刺青があった。ある日、...

1997

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女たちのジハード

篠田節子
中堅保険会社に勤める5人のOL。条件のよい結婚に策略を巡らす美人のリサ。家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおく...
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鉄道員(ぽっぽや)

浅田次郎
娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた...。映画化され大ヒットした表題作「鉄道員」はじめ「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」「オリヲン座からの招待状」など、珠玉の短篇8作品を収...

1996

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山妣

坂東眞砂子
明治末期、文明開化の波も遠い越後の山里。小正月と山神への奉納芝居の準備で活気づく村に、芝居指南のため、東京から旅芸人が招かれる。不毛の肉体を持て余す美貌の役者・涼之助と、雪に閉ざされた村の暮らしに倦い...
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凍える牙

乃南アサ
深夜のファミリーレストランで突如、人間が炎上した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された男が発見される。二つの異常な事件の裏に隠されたひそかな繋がりとは?ヒロインの孤独な闘いが読者の圧倒的共感を集め...

1995

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小池真理子
1972年冬。全国を震撼させた浅間山荘事件の蔭で、一人の女が引き起こした発砲事件。当時学生だった布美子は、大学助教授・片瀬と妻の雛子との奔放な結びつきに惹かれ、倒錯した関係に陥っていく。が、一人の青年...
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テロリストのパラソル

藤原伊織
アル中バーテンダーの島村は、過去を隠し二十年以上もひっそり暮らしてきたが、新宿中央公園の爆弾テロに遭遇してから生活が急転する。ヤクザの浅井、爆発で死んだ昔の恋人の娘・塔子らが次々と店を訪れた。知らぬ間...
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白球残映

赤瀬川隼
思春期の頃、年齢の近い叔母に密かに寄せた熱い恋心。亡くして初めて知った父の意外な一面。トレードに出されたベテラン・プロ野球選手とリストラ進行中の会社に勤める中堅社員という、岐路に立たされた男二人の友情...

1994

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帰郷

海老沢泰久
エンジンが大好きな組立工がいた。故郷の自動車エンジン工場勤務から、ある日、F1チームのエンジン組み立てメンバーに選ばれた。サーキットを転戦して世界を回る毎日。すばらしい日々だ。帰国休暇にはガールフレン...
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二つの山河

中村彰彦
【第111回直木賞受賞作】 かれらも祖国のために戦ったのだから——。 大正初め、徳島のドイツ人俘虜収容所で例のない寛容な処遇がなされ、日本人市民と俘虜との交歓が実現した。真のサムライと讃えられた所長・...

1993

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新宿鮫無間人形

大沢在昌
手軽でお洒落。若者たちの間で流行っている薬「アイスキャンディ」の正体は覚せい剤だった。密売ルートを追う鮫島は、藤野組の角を炙り出す。さらに麻薬取締官の塔下から、地方財閥・香川家の関わりを知らされる。薬...
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恵比寿屋喜兵衛手控え

佐藤雅美
争いは世の常、人の常。江戸の世で、その争いの相談所が恵比寿屋のような公事宿だ。ある日、若者が恵比寿屋を訪れ、兄が知らぬ男に金を返せと訴えられたと相談した。喜兵衛は怪しい臭いを感じとる。事件の真相は如何...
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マークスの山

高村薫
殺人犯を特定できない警察をあざ笑うかのように、次々と人を殺し続けるマークス。捜査情報を共有できない刑事たちが苛立つ一方、事件は地検にも及ぶ。事件を解くカギは、マークスが握る秘密にあった。凶暴で狡知に長...
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恋忘れ草

北原亞以子
著者のライフワーク、ついに完結! 八代将軍吉宗と尾張藩主宗春、田沼意次、平賀源内、シーボルト、そして新撰組や彰義隊の闘い。ぎやまんの鏡が写す江戸三百年史完結。...

1992

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佃島ふたり書房

出久根達郎
佃の渡しが消えた東京五輪の年、男は佃島の古書店「ふたり書房」を立ち去った。大逆事件の明治末から高度成長で大変貌をとげる昭和39年まで移ろいゆく東京の下町を背景に庶民の哀歓を描く感動長篇。生年月日がまっ...
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受け月

伊集院静
永年率いた社会人野球の名門チームからの引退を、自ら育てた後輩に告げられた老監督、亡くなった夫の好きだった野球を始めた息子がベンチで試合を見つめる姿に複雑な思いを抱く若い母親、母と自分を捨てて家を出た父...

1991

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緋い記憶

高橋克彦
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青春デンデケデケデケ

芦原すなお
デンデケデケデケ~。1965年、3月28日。高校進学をひかえた15歳の春休み。ラジオから流れてきたベンチャーズの「Pipeline」。その電気ギターのトレモロ・グリッサンド奏法のフレーズに、“ちっくん...
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夏姫春秋

宮城谷昌光
春秋時代、絶世の美女の、烈しくうつくしい生。中国古代王朝の光と風をみごとに甦らせた名篇。平成三年、直木賞受賞作。...
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狼奉行

高橋義夫
自害の恐れがある代官の嫡男・孫四郎を預かった左金吾。盗賊の討伐に向かう夜、孫四郎が姿を消し―(「赤い米」)。羽州上山藩の僻地に赴任した靱負は、病を運ぶ狼と藩の陰謀に立ち向かう(直木賞受賞作「狼奉行」)...

1990

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漂泊者のアリア

古川薫
戦国時代、各地に割拠する武将たちは、敵・味方のあいだに流れる微妙な情報を取捨選択し、的確な状況判断を下さねばならなかった。情誼と誠意の仮面の下で知謀の限りを尽くし、山陰・山陽十カ国、豊前・筑前の九州二...
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蔭桔梗

泡坂妻夫
紋章上絵師の章次のもとに、かつて心を寄せあっていた女性から、二十年前と同じ蔭桔梗の紋入れの依頼があった。あの時は事情があって下職に回してしまったのだが、それは彼女が密かな願いをかけて託した紋入れだった...

1989

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小伝抄

星川清司
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遠い国からの殺人者

笹倉明
「男の人が倒れている」110番通報の女の声には妙ななまりがあった──。マンションで死んでいたのは大学を中退した無職の若い男。姿をくらましたのは同居していた外国人ストリップ・ダンサー。彼女の身に一体何が...
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高円寺純情商店街

ねじめ正一

1988

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遠い海から来たCOO

景山民夫
ネス湖をめざして七月のスコットランド高地を旅する男を描く表題作、名作『遠い海から来たCOO』の小畑父子とトニー・ボトムズの出会いと友情の物語「アイランド」のほか、「バリ島綺談」「私説ジャイアント馬場伝...
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東京新大橋雨中図

杉本章子
江戸時代にも「占い」は流行し、女性たちはそのお告げに一喜一憂していた。実際に出版されていた占い本「女用知恵鑑宝織(おんなようちえかがみたからおり)」。女の吉凶を生まれ月ごとにズバリあてるこの本に想を得...
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熟れてゆく夏

藤堂志津子
夏。北海道。瀟洒なリゾート・ホテル。共通の“女主人”を、それぞれの思いで待ち受ける、美しく不安な若い男女。ときに反発しあい、ときには狎れあいながら、たゆたゆと待つ日々が過ぎてゆく。女主人の望みはいった...
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凍れる瞳・端島の女

西木正明
日露戦争から第二次世界大戦、激動の時代に翻弄された美貌の混血ダンサーがいた! 図らずも日本のスパイとして活躍した波乱の人生が甦る、感動のノンフィクション・ノベル。 1990年春。ベルリンの壁崩壊を取材...

1987

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ソウル・ミュージックラバーズ・オンリー

山田詠美
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それぞれの終楽章

阿部牧郎
自殺した同級生の葬儀に故郷秋田を訪れた作家がふりかえる自らの生の軌跡。友と聴いたクラシック、仲間と励んだ雪の中の野球……万引事件や生家の破産を越えて胸に迫るのは懐しい思い出の数々。人生の終楽章を迎えて...
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海狼伝

白石一郎
【第97回(1987年)直木賞受賞作】 ときは戦国。海と船への憧れを抱いて対馬で育った少年笛太郎は、航海中、瀬戸内海を根城とする村上水軍の海賊衆に捕まり、その手下となって、やがて“海の狼”へと成長して...

1986

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恋紅

皆川博子
遊女屋の愛娘ゆうは大勢の花魁や男衆の中で、華やかな郭の裏も表も見て育った。ある日、芝居見物に出かけたゆうは、升席にいる男を見て衝撃を受ける。五年前、雑踏で途方にくれていたゆうを救い、優しさで包み込んで...
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カディスの赤い星

逢坂剛
それは来日したギター製作家の相談だった。二十年前に工房を訪ねてきた日本人ギタリストを探してほしいという。わずかな手掛りをもとに、男はマドリードへと旅立ったが...。スペイン現代史の謎を背景に、PRマン...
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遠いアメリカ

常盤新平
戦後十年、日本人はまだ貧しい生活を送りながら大国アメリカの豊かな物質文化や娯楽産業に憧れをいだいていた。クリーネックス・ティシューや雑誌「ヴォーグ」、そしてハリウッド映画。そんな時代に、二十代半ばの青...

1985

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魚河岸ものがたり

森田誠吾
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最終便に間に合えば・京都まで

林真理子
OLから造花クリエーターに転進した美登里は、旅行先の札幌で七年前に別れた男と再会する。身勝手と独占の欲望にさいなまれた苦々しい思い出は、いつしか甘美な記憶にとってかわり、空港へと向かうタクシーの中で美...
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演歌の虫・老梅

山口洋子
演歌歌手を育てて世に出すことに情熱を燃やすレコード会社のディレクターの夢と挫折を、冷めているようで暖かい女性作詞家の眼で描く「演歌の虫」、毎日美しく髪を結っては旦那が訪ねて来るのを待ち続ける老芸妓の心...

1984

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恋文

連城三紀彦
マニキュアで描いた花吹雪を窓ガラスに残し、部屋を出ていった歳下の夫。それをきっかけに、しっかり者の妻に、初めて心を許せる女友達が出来たが(「恋文」)。二十一の若さで死んだ、姉の娘。幼い子供を抱いた五枚...
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てんのじ村

難波利三
大阪は通天閣の下に、漫才師、奇術師、浪曲師といった芸人たちがあつまり住む一郭“てんのじ村”があった。戦前、戦後、そして高度経済成長期と、大阪芸人の活躍の場が、寄席からラジオ、テレビへと移りゆくなか、時...

1983

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秘伝

高橋治
巨魚に挑む男たちを描いた直木賞受賞の大ロマン。長崎県西彼杵半島の西海岸を舞台に、二人の釣り名人と怪魚イシナギの死闘劇の幕は切って落とされた。まるで潜水艦のような黒い影が潜む海中に、特殊な工夫を施した必...
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私生活

神吉拓郎
「都会生活の哀愁を、巧みに切りとってみせた」と高く評価された第90回直木賞受賞の短篇集である。この世の中、どこの誰にも一枚めくれば、あやしげな私生活があるものだ。人それぞれにおなじ悩みも濃くまた淡く…...
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黒パン俘虜記

胡桃沢耕史
「軍隊は運隊だ」という言葉どおり、運悪く、敗戦と同時に送りこまれたモンゴルの収容所は、まさにこの世の地獄だった。軍律の崩壊した集団に君臨するやくざあがりの大ボス・小ボス。食糧といえば、黒パンとわずかな...

1982

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時代屋の女房

村松友視
銀色の日傘をくるくる回しながら子猫のアブサンと夏の盛りにふらっとやってきた真弓が、「時代屋」の女房として居着いたのは5年前のことだった。東京は大井町の一隅にある骨董屋を舞台に、男女の淡く切ない恋情と、...
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炎熱商人

深田祐介
中堅商社のマニラ事務所長小寺は本社の要請で未経験のラワン材取引きに手を染めた。しかし現地の人々との信頼の上にビジネスを進めようとする彼の前に、厳しい現実が次々とたちはだかってくる……。炎熱の地で困難な...

1981

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蒲田行進曲

つかこうへい
第86回直木賞受賞作! 時代を超えて愛されるつかこうへいの代表作!...
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機雷

光岡明
海軍兵学校出身の梶井中尉は、連合艦隊を夢みながらも、後衛の海防艦「大東」から、さらに後方の機雷敷設艦「常磐」に移される。あてのない敵を待ち続け、海を浮遊する機雷に、運命を弄(もてあそ)ばれながら敗戦を...
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人間万事塞翁が丙午

青島幸男
呉服問屋が軒をつらねる東京・日本橋堀留町の仕出し弁当屋〈弁菊〉。人情味豊かであけっぴろげ、良くも悪くもにぎやかな下町に、21歳で嫁いできたハナは、さまざまな事件に出会いながらも、持ち前のヴァイタリティ...

1980

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元首の謀叛

中村正軌
ある日、東ドイツの国境監視塔が轟音とともに崩れ落ちた。一方、ソ連軍や東独軍が不審な動きを見せ始めた。西側への侵攻準備だろうか? 各国の首脳が疑心暗鬼におちいっている間に、一人の東独空軍中尉が、密かに西...
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黄色い牙

志茂田景樹
第83回直木賞受賞作品 直木賞受賞の不朽の名作、待望のリニューアル。 家族の絆、人間と動物の熱い交流。失われた価値を求めて今、圧倒的な注目を集める話題作がついに電子書籍で復刊! 秋田山中で狩猟によって...
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花の名前・かわうそ・犬小屋

向田邦子
向田邦子のテレビデビュー作『ダイヤル110番』の台本をついに発見!これまで幻といわれていた一九五〇~六〇年代初期の作品を収録する。また、TBS「結婚前夜シリーズ」『母の贈物』や、「東芝日曜劇場」のため...

1979

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ナポレオン狂

阿刀田高
自らナポレオンの生まれ変りと信じ切っている男、はたまたナポレオンの遺品を完璧にそろえたいコレクター。その両者を引き合わせた結果とは? ダール、スレッサーに匹敵する短篇小説の名手が、卓抜の切れ味を発揮し...
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浪曲師朝日丸の話・ミミのこと

田中小実昌

1978

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離婚

色川武大
「ことさら深刻ぶるのはよそうぜ」などとカッコいいせりふを吐いてぼくたち二人はおたがい納得して「離婚」したのです。ところがどこでどうなってしまったのでしょうか、ぼくはいつのまにか、「もと女房」のアパート...
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大浪花諸人往来

有明夏夫
旧幕府時代は十手取縄を扱い、明治に入っても捕物を生きがいとする「海坊主の親方」こと赤岩源蔵。その異名は、かつて天誅組を追っていたときに左耳を削ぎ落とされたその特異な容貌と相まって称されるが、一本気で豪...
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一絃の琴

宮尾登美子
土佐藩の上士の娘・苗は、祖母・袖の嗜みであった一絃琴を5歳の時に初めて聴き、その深い音色に魅せられた。運命の師有伯と死別した後、結婚生活で一度は封印したものの、夫の理解を得て市橋塾を始め、隆盛を極めた...
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深重の海

津本陽
紀伊半島は南東部、太地湾辺りは古くから鯨取りで栄えた土地柄である。明治11年12月24日、熊野灘の沖に現われた一頭の巨大鯨。小舟に乗った数百人の男たちが立ち向かう。これが大遭難、世にいう“背美流れ”の...

1976

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子育てごっこ

三好京三
東北の寒村で小学校教師をしている夫妻が、ひょんなことから学校に通ったことのない少女・吏華を預かることになった。吏華は5歳のころより老画家に連れられて、住まいを転々としていたのだ。厳格な“男先生”と社会...

1975

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復讐するは我にあり

佐木隆三
昭和38年、高度成長に沸く日本国中が震撼した連続殺人事件。言葉巧みに人を騙し、殺し、日本列島を縦断しながら犯罪を重ねる男に対し、警察は史上初の全国一斉捜査を開始した。関係した女、目撃情報は多数あり、立...

1974

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雨やどり

半村良
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アトラス伝説

井出孫六
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鬼の詩

藤本義一
二〇一二年十月に亡くなった著者の代表作集。直木賞受賞作「鬼の詩」、運命的な師・映画監督川島雄三のモデル小説「生きいそぎの記」他、「贋芸人抄」「下座地獄」、講演「師匠・川島雄三を語る」。...

1973

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津軽世去れ節・津軽じょんから節

長部日出雄
嘉瀬の桃、こと黒川桃太郎。彼がじょんがらの最初の唸りを発すると、津軽の民衆は一遍に心を奪われたものだった...。昭和6年、酒と賭博に溺れて死んだ津軽三味線大成者の生涯を描き、第69回直木賞を受けた表題...
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暗殺の年輪

藤沢周平
海坂(うなさか)藩士・葛西馨之介(けいのすけ)は成長するにつれ、周囲が向ける愍笑(びんしょう)の眼を感じるようになった。どうやら、18年前の父の横死と関係があるらしい。仲間から孤立する馨之介が、久しぶ...

1972

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手鎖心中

井上ひさし
材木問屋の若旦那、栄次郎ときたら、いずれ大店を継ぐ安楽な身の上のくせに、他人を笑わせ、他人に笑われ、ちょっぴり奉られもしたいがために、絵草紙の作者になりたいと思い焦がれている。悲しいかな、その才能は皆...
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綱淵謙錠
最も人道的な斬首の方法とは、被刑者に何らの苦痛もあたえず、一瞬のうちに正確にその首を打ち落とすことである...。“首斬り浅右衛門”の異名で恐れられ、七代二百五十年に渡り世襲として罪人の首を切り続けた山...

1970

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長良川

豊田穣
誇り高きひとにとって、辛く無残なるは、己の真情を、己の過去の秘めごとと共に、他に吐露することであるという。海軍中尉豊田穣は、過ぐる大戦において乗機被弾、不時着、漂流の果てに虜囚となり、失意と絶望の淵を...
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光と影

渡辺淳一
将来を嘱望された陸軍大尉の小武は右腕負傷の憂き目にあう。偶然にも同じ傷で同期の寺内と病院で一緒になるが、小武は切断、寺内は腕を残した施術となった。廃兵となった小武はしだいに転落の気分を味わうが、いっぽ...
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軍旗はためく下に

結城昌治
敵前逃亡・奔敵、従軍免脱、司令官逃避、敵前党与逃亡、上官殺害。陸軍刑法上、死刑と定められた罪で戦地で裁かれ処刑された兵士たち。敗戦後二十余年を経て非情の真相が語られる。戦争の理不尽を描いた直木賞受賞作...

1969

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戦いすんで日が暮れて

佐藤愛子
強い男、りりしい男はいないのか! 弱気な夫と、巨額の負債をしょいこんだ家庭の中で、休む間もない奮闘を続ける、男まさりの“強い妻”を独自の真情と塩からいペーソスで描く――直木賞受賞作。ほかに「ひとりぽっ...

1968

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僑人の檻

早乙女貢
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青玉獅子香炉

陳舜臣
父にかけられた革命資金横領の汚名を晴らそうと、真相を探る主人公。次々と起こる奇妙な事件、そして殺人。完全犯罪を思わせる結末に、鮮やかなドンデン返し「炎に絵を」。戦局の拡大とともに大陸を転転と避難する故...

1967

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聖少女

三好徹
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アメリカひじき・火垂るの墓

野坂昭如
アメリカ人夫婦が遊びにくる——にわかに甦る敗戦前後の記憶とあやしげな日米親善、そして屈折したアメリカに対する心理をユニークな文体で描く「アメリカひじき」。昭和二十年九月、三宮駅構内で死んだ浮浪児が持っ...
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追いつめる

生島治郎
神戸を拠点とし、日本全国に傘下の組をもつ巨大広域暴力団・浜内組。兵庫県警の部長刑事志田司郎は、浜内組潰滅を図る県警本部長の特命を受けていた。折りしも義父で海運会社の重役を務める来水信介と浜内組とのトラ...

1966

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蒼ざめた馬を見よ

五木寛之
ソ連の老作家が書いた痛烈な体制批判の小説。原稿の入手を命じられた 外信部記者の鷹野は、新聞社を離れ、身分を偽ってソ連に潜入する。 運よく手に入った小説は全世界でベストセラーとなり、ソ連は窮地に立つ。 ...
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白い罌粟

立原正秋

1965

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八百長

新橋遊吉
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虜愁記

千葉治平
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藤井重夫
1950年敗戦直後の大阪。四国の田舎町から、広島から、名古屋から、丹波から天王寺駅界隈にすみついた戦災孤児たちはたくましく生きる。そのひとり、虹を見るといつも泣き出すカズヒコと交番の巡査との暖かい心の...

1964

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張少子(チャンシャオツ)の話

安西篤子
兄王への謀叛を企んだとされ、追われる身となった季王韶(しょう)。名を秘し、張少子(チャンシャオツ)と呼ばれ、逃亡生活に入った。牛荘(ニュウチャン)で奉公をはじめ、お嬢様の趙小姐(チョウシャオチェ)と打...
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炎環

永井路子
京の権力を前に圧迫され続けてきた東国に、ひとつの灯がともった。源頼朝の挙兵に始まる歴史のうねりは、またたくうちに関東の野をおおいはじめた。鎌倉幕府の成立、武士と呼ばれる者たちの台頭——その裏には、彼ら...

1963

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女のいくさ

佐藤得二
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巷談本牧亭

安藤鶴夫
有名な講談席「本牧亭」を舞台に、芸人たちや周辺の人びとの悲喜こもごもを鮮やかな筆致で描いた安藤鶴夫の代表作で、昭和38年度直木賞作。生誕100年を記念して、貴重な名作復活!...
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塵の中

和田芳恵
一葉は自分の身を染めたものだけを遺した。彼女の日記は、明治初期の変動期を、重なる生活苦と女としての苦悩の中に生きた、一人の若い女性の書いたすぐれた私小説と見ることができる。本書は、日記をもとにした精緻...

1962

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江分利満氏の優雅な生活

山口瞳
描かれているのは、昭和の年号とともに生きてきたサラリーマンのごく普通の日常に過ぎない。しかし、エッセイとも日記とも思えるスタイルと軽妙洒脱な文章を通して、それが大変な出来事の積み重ねであることが分かっ...
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孤愁の岸

杉本苑子
財政難に喘ぐ薩摩藩に突如濃尾三川治水の幕命が下る。露骨な外様潰しの策謀と知りつつ、平田靭負ら薩摩藩士は遥か濃尾の地に赴いた。利に走る商人、自村のエゴに狂奔する百姓、腐敗しきった公儀役人らを相手に、お手...
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天才と狂人の間

杉森久英

1961

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螢の河

伊藤桂一
苛烈な戦場での日々に、死を凝視しつつ、なお友情、青春が息づく、その刻々を淡々と描いた、直木賞受賞作「蛍の河」。堪え難い神経痛と耳鳴りに悩む“ぼく”が山奥での岩魚釣り中、不意に“生きてゆくこと”を深く認...
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雁の寺

水上勉
逝去した最後の文豪・水上勉。その文学的出発点となった直木賞受賞作「雁の寺」。その創作の秘密を、生前最良の友人・司修が作品の舞台となった京都を訪れて探り当てる。水上文学の真髄に迫り、故人の面影を偲ぶ追悼...

1960

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背徳のメス

黒岩重吾
大阪の施療院で、殺害未遂事件が起こった。被害者は、憑かれたように女をあさる、背徳産婦人科医だった。彼を憎み、うらむ者は多い。犯人追及の過程で浮び上がる、彼や容疑者たちの暗い過去……。戦争で青春を失い、...
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はぐれ念仏

寺内大吉
北条三来和尚は肌身離さず数珠をもち、朝夕に念仏を欠かさない。それが突然、袈裟を脱ぎ捨てて宗会議員に立候補した。かつて生き仏とまで讃えられた大老僧が、湯水のごとくゼニをまきちらし、仏戒を破り、票をかき集...
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錯乱

池波正太郎

1959

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鏨師

平岩弓枝
無銘の古刀に名匠の偽銘を切って高価な刀剣にする鏨師。その並々ならぬ技術を見破る刀剣鑑定家。火花を散らす名人同士の対決に、恩愛のきずながからむ厳しい世界をしっとりと描いた第41回直木賞受賞作「鏨師」のほ...
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梟の城

司馬遼太郎
織田信長によって一族を惨殺された怨念と、忍者としての生きがいをかけて豊臣秀吉暗殺をねらう伊賀者、葛籠重蔵。その相弟子で、忍者の道を捨てて仕官をし、伊賀を売り、重蔵を捕えることに出世の方途を求める風間五...
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團十郎切腹事件

戸板康二
ミステリ史に燦然と輝く老歌舞伎役者・中村雅楽の名推理 第1巻は、第42回直木賞受賞作「團十郎切腹事件」など全18編 江戸川乱歩に見いだされ、旧「宝石」誌に掲載された「車引殺人事件」にはじまる、老歌舞伎...

1958

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総会屋錦城

城山三郎
直木賞受賞の表題作は、株主総会の席上やその裏面で、命がけで暗躍する、財界の影武者ともいえる総会屋の老ボスを描く評判作。ほかに交通事故の時だけタクシー会社の重役の身代りで見舞いや弔問にゆく五十男の悲しみ...
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落ちる

多岐川恭
自己破壊衝動に駆られる危うい精神状態の男の物語「落ちる」、万年平行員のささやかな逆襲「ある脅迫」、完全犯罪かと思われた事件の皮肉な露顕「笑う男」―第四十回直木賞を受けた三編のほか、囚われの身となった老...
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赤い雪

榛葉英治
「なぜ私は釣りがこんなにも好きになったのだ」その問いに答える直木賞作家、珠玉の釣り好随筆。...
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花のれん

山崎豊子
大阪商人の魂を描いた「暖簾」「花のれん」、短編「船場狂い」「持参金」「遺留品」「しぶちん」を収録。...

1957

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ルソンの谷間

江崎誠致
兵士が書きつづった、けだかく、うつくしく、心あらわれる日本語の魅力。フィリピンの戦場で無数の戦友の死体を目撃した著者は、ふたたび生命をもつことのない死体が、今なお「私の中に生きている事実を、書きしるし...

1956

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勝烏

穂積驚
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お吟さま

今東光
千利休の娘・お吟の胸には、堺の豪商・万代屋宗安に嫁いだ後も、初恋のキリシタン大名・高山右近の俤(おもかげ)がひそかに生きつづけていた。やがて離婚したお吟の美貌は、最高権力者・秀吉の関心をひき、その軋轢...
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壁の花

今官一
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燈台鬼

南條範夫
剣豪小説の名手が贈る、明朗な青年剣士の名推理 鋭いロジックと意表をつく展開で魅せる傑作17編 徳川11代将軍家斉の時代。時の老中・松平伊豆守信明を伯父にもつ、明朗で人懐っこい青年剣士・月影兵庫。彼は伯...

1955

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強力伝

新田次郎
男はなぜ180kgもある巨石を背負って白馬山頂を目指したのか―?徹底的な取材に基づいて実在の人物像に迫り、この無謀な計画がもたらした悲劇と男の友情を描いて“山岳小説の白眉”と称された著者処女作「強力伝...
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香港

邱永漢
中国何千年の歴史の上で、かつて想像もしなかったような大きな変化が大陸で起こっている...。香港・台湾・日本、そして中国、広大なフィールドを舞台にさまざまな事業を展開する著者が、アジアの時代を現場香港か...

1954

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ボロ家の春秋

梅崎春生
「桜島」「日の果て」などの戦争小説の秀作をのこした梅崎春生のもう1つの作品系列、市井の日常を扱った作品群の中から、「蜆」「庭の眺め」「黄色い日日」「Sの背中」「ボロ家の春秋」「記憶」「凡人凡語」の計7...
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高安犬物語

戸川幸夫
動物というものは、かわいいものです。もし、この世の中から、動物たちがいなくなったら、わたしたちの人生は、どんなにあじけないものになってしまうでしょう。動物たちは、人生をうるおす、きれいな流れであり、い...
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終身未決囚

有馬頼義
昭和十一年二月二十六日未明、一面の雪につつまれた帝都は、陸軍青年将校らのクーデターに震撼した!事件の犠牲となった内大臣斎藤実の縁戚に当たる著者は、内大臣私邸の向かいの屋敷の窓から、斎藤邸襲撃の模様を目...

1952

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叛乱

立野信之
昭和十一年二月二十六日朝まだき、降りしきる雪の中、首相はじめ政府要人が次々に襲撃・殺害された。憂国の陸軍青年将校らが「尊皇討奸」を掲げ、ついに行動したのだ。しかし、正義の決起は徐々に逆賊・叛乱の名を被...
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罪な女・その他

藤原審爾
東京・新宿にある警察署を舞台に、燃えるような情熱をもった刑事たち 聞込みは、運が左右する。不意に思いがけないことをきかれて、すらすら思い出せるものではない。それに、なにか大事な目撃をした者が、聞込みの...

1951

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イエスの裔

柴田錬三郎
時代小説の大家による、本格ミステリ連作集と長らく入手不可能だった奇想に満ちた短編集を、合本で贈る。 難事件を無事解決したと安堵する刑事や、完全犯罪をやり遂げたとほくそ笑む犯人の前に、「仕損じたね」と告...
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鈴木主水

久生十蘭
東西、古今の「事件」に材を採った、十蘭の透徹した「常識人」の眼力が光る傑作群。「犂氏の友情」「勝負」「悪の花束」「南極記」「爆風」「不滅の花」など。...
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英語屋さん・その他

源氏鶏太

1950

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真説石川五右衛門・長恨歌

檀一雄
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執行猶予

小山いと子
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天皇の帽子

今日出海

1949

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海の廃園

山田克郎
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面・刺青

富田常雄
アメリカでのボクシング対柔道の試合。日本の名誉を賭けて戦うが勝算はあるのか「転がり試合」。かつての伯爵で元勲だった老人が若い女を囲っていたが彼女には恋人があった「面」。若い女の刺青に魅せられた男が夢中...

1944

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ニューギニヤ山岳戦

岡田誠三

1943

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山畠・蛾と笹舟

森荘已池

1942

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強情いちご・その他

田岡典夫
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寛容・その他

神崎武雄

1941

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雲南守備兵

木村荘十

1940

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上総風土記・その他

村上元三
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小指・その他

堤千代
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軍事郵便

河内仙介

1938

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兜首・秋田口の兄弟

大池唯雄
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ナリン殿下への回想

橘外男
「人獣交合の描写のエロティシズムとグロテスクぶりにかけては、この橘外男の『陰獣トリステサ』以上のものは、まだ世界のどこの文学にも現われていないようだ」と澁澤龍彦が絶賛した隠れた名作も収録。 直木賞作家...

1937

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ジョン萬次郎漂流記・その他

井伏鱒二

1936

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人生の阿呆

木々高太郎
探偵小説芸術論を提唱した木々高太郎の代表的長編。直木賞(第4回)受賞作。...
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天正女合戦・武道傳來記

海音寺潮五郎
臆病者とさげすまれた間宮織部は、息子・和三郎に「武士」の心を打ち明けて死ぬ。後日、若殿のお供をした和三郎は、父の汚名を晴らす…「武道伝来記」。秀吉の妻妾たちの二派に分かれた争いに巻き込まれた千利休の娘...

1935

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吉野朝太平記

鷲尾雨工
唯一の支柱と頼る准皇親房卿の薨去にあって彫心鏤骨の工作も空しく、悲境のどん底になお南北朝合一をめざし、倦まずめぐらす正儀の秘謀。自責悶々、乱心狂気する足利尊氏。凄愴乱離の大団円。第2回直木賞受賞作品。...
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鶴八鶴次郎・風流深川唄

川口松太郎
鶴賀鶴八と鶴次郎は女の三味線弾きに男の太夫と珍しい組み合わせの新内語り。若手ながらイキの合った芸で名人と言われる。内心では愛し合う二人だが、一徹な性格故に喧嘩が多く、晴れて結ばれる直前に別れてしまう。...