cover

白球残映

赤瀬川隼

思春期の頃、年齢の近い叔母に密かに寄せた熱い恋心。亡くして初めて知った父の意外な一面。トレードに出されたベテラン・プロ野球選手とリストラ進行中の会社に勤める中堅社員という、岐路に立たされた男二人の友情。輝かしい成績を残しながらも突如プロ球界を去った名投手の秘密―野球をモチーフに、野球少年なら誰しもが通過するホロ苦い挫折、郷愁などをさわやかに描いた短編集(野球描写がない作品を一編収録)。じんわりと野球ファンの胸にしみる第113回直木賞受賞作。

赤瀬川隼

赤瀬川 隼(あかせがわ しゅん、本名:赤瀬川隼彦、1931年11月5日 - 2015年1月26日)は、日本の小説家。三重県生まれ。大分第一高等学校(現大分県立大分上野丘高等学校)卒業。旧制中学の同級生に、磯崎新がいた。 住友銀行への16年の勤務を経て、外国語教育機関(ラボ教育センターの運営会社のテックに勤務し、のちに言語交流研究所(テックから、榊原陽らが独立して作ったヒッポファミリークラブの関連組織)に勤務し主に広報の仕事に従事、その後は全集物のセールスマンなどに従事。 1983年に『球は転々宇宙間』で第4回吉川英治文学新人賞を受賞。 1983年、「捕手はまだか」で第88回直木賞候補。1984年、「潮もかなひぬ」で 第90回直木賞候補。