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終身未決囚

有馬頼義

昭和十一年二月二十六日未明、一面の雪につつまれた帝都は、陸軍青年将校らのクーデターに震撼した!事件の犠牲となった内大臣斎藤実の縁戚に当たる著者は、内大臣私邸の向かいの屋敷の窓から、斎藤邸襲撃の模様を目撃した。それから三十年余をへて、すでに直木賞作家となっていた著者は、関係者の証言や資料を基にたんねんに取材を重ね、本書をまとめた。日本を敗戦へと巻き込む最大の転機となったこの事件は、革命だったのか、それとも単なる殺人に過ぎなかったのか。事件を直接見聞した著者による傑作ドキュメントが、いま装いも新たによみがえる。

有馬頼義

有馬 頼義(ありま よりちか、1918年2月14日 - 1980年4月15日)は、日本の小説家。中間小説、社会派推理小説の分野で活躍した。旧筑後国久留米藩主有馬家の第16代当主。 == 出自 == 伯爵有馬頼寧の三男として東京市赤坂区青山に生まれる。母貞子は北白川宮能久親王の第二女王女子。 頼寧の母・寛子(頼義の祖母)は岩倉具視の五女。頼義の妹・澄子は足利惇氏の妻。姉の正子は亀井茲建の妻であり、衆議院議員亀井久興は甥にあたる。