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大浪花諸人往来

有明夏夫

旧幕府時代は十手取縄を扱い、明治に入っても捕物を生きがいとする「海坊主の親方」こと赤岩源蔵。その異名は、かつて天誅組を追っていたときに左耳を削ぎ落とされたその特異な容貌と相まって称されるが、一本気で豪快ながら、冴え渡るひらめきは、さながら名探偵そのもの。その名解決ぶりに思わず拍手を送りたくなる!本作は、1978年、第八十回直木賞を受賞した『大浪花諸人往来』シリーズから、秀作を選りすぐって復刊する全四巻のうちの第2弾。捕物帳作品の中では異色ともいえる明治開化期の大阪を舞台に、当時の社会状況や文化、風俗などが生き生きと甦る。

有明夏夫

有明 夏夫(ありあけ なつお、1936年5月11日 - 2002年12月17日)は大阪府出身の作家。 本名は斎藤義和。1945年福井県に疎開し、勝山精華高等学校(現福井県立勝山南高等学校)を卒業。同志社大学工学部中退後、工員や会社員を経て1972年に作家としてデビューした。1978年、『大浪花諸人往来』で第80回直木賞を受賞。 2002年、肝不全のため死去。66歳没。 == 受賞歴 == 1972年『FL無宿のテーマ』で第18回小説現代新人賞。