野間文芸新人賞

2019

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『神前酔狂宴』

古谷田奈月
神社の結婚披露宴会場で働く浜野、梶、倉地―配膳スタッフとして日々披露宴の「茶番」を演じるうちに、神社の祀る神が明治日本の軍神であることを知り...。結婚、家族、日本という壮大な茶番を切り裂く圧巻の衝撃...
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『デッドライン』

千葉雅也
珊瑚礁のまわりで群れをなす魚のように、導きあう男たちが夜の底をクルーズする――。ゲイであること、思考すること、生きること。修士論文のデッドラインが迫るなか、動物になることと女性になることの線上で悩み、...

2018

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『本物の読書家』

乗代雄介
書物への耽溺、言葉の探求、読むことへの畏怖。群像新人文学賞受賞作『十七八より』で瞠目のデビューを遂げた、新鋭にして究極の読書家、待望の新刊!表題作のほかに「未熟な同感者」を収録。...
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『双子は驢馬に跨がって』

金子薫
「アメトーーク!」読書芸人特集・光浦靖子氏紹介でブレイク! 監禁される親子、救出に向かう双子と驢馬――独自の世界観で注目を集める気鋭が描く、荒唐無稽な冒険譚。...

2017

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日曜日の人々

高橋弘希
「皆さん、おはようございます、日直の杏子(アンズ)です」「拒食も過食も不眠も自傷の一種だ」「僕はあなたがたを愛しているので、方法は記しません」「関東地区でパーティー希望です」「それでもお願いだから!」...
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星の子

今村夏子
林ちひろは、中学3年生。出生直後から病弱だったちひろを救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族のかたちを歪めていく...。野間文芸新人賞を受賞し、本屋大賞にもノ...

2016

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のろい男俳優・亀岡拓次

戌井昭人
映画「俳優 亀岡拓次」、2016年1月30日(土)テアトル新宿ほか全国公開! 亀岡拓次、40歳。下着泥棒から火宅の作家まで、哀愁漂う男を演れば天下一。傑作シリーズ第二弾の本書では、大女優・松村夏子さん...

2015

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女たち三百人の裏切りの書

古川日出男
女人たち、海賊たち、武士たち、蝦夷たち。いくつもの物語がやがて集結して結晶する、瞠目の“古川日出男版”源氏物語。...
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愛と人生

滝口悠生
「男はつらいよ」シリーズの子役だった「私」が27年の歳月を経て、当時の話を伊豆の温泉宿で「美保純」とする。「非常に面白い戦略」─中条省平氏、「ご褒美のような幸福感のラスト」─長野まゆみ氏「大衆的な紋切...

2014

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LIFE

松波太郎
【第150回芥川賞候補作】猫木豊、31歳。脳内で「365日毎日“だらだら且ぶらぶら”できる国の王」として暮らす、ダメ男。ある日、パートナーの宝田から妊娠を告げられ、“だらだら且ぶらぶら”に未練を残しつ...

2013

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想像ラジオ

いとうせいこう
深夜二時四十六分。海沿いの小さな町を見下ろす杉の木のてっぺんから、「想像」という電波を使って「あなたの想像力の中」だけで聴こえるという、ラジオ番組のオンエアを始めたDJアーク。その理由は―東日本大震災...

2012

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緑のさる

山下澄人
『文學界』でデビュー、注目の著者初単行本...
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螺法四千年記

日和聡子
現在という地平線に交錯する、神、人、小さな生き物たちの時空。“此岸と彼岸”、“私と彼方”の“景色”を打ち立てた、新しい文学。...

2011

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ぬるい毒

本谷有希子
あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。恋...

2010

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寝ても覚めても

柴崎友香
話題の映画原作、待望の増補新版! 濱口竜介監督 東出昌大主演 第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品 2018年9月1日全国公開 運命の人は二人いた…… 芥川賞作家の代表長篇に加え、 森...
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烏有此譚

円城塔
灰に埋め尽くされ、僕は穴になってしまった―目眩がするような観念の戯れ、そして世界観―。不条理文学のさらに先を行く、純文学。...

2009

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ギンイロノウタ

村田沙耶香
極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。アニメの魔法使いみたいに杖をひと振り、押入れの暗闇に銀の星がきらめき、無数の目玉が少女を秘密の快楽へ誘う。クラスメイトにステッキ...

2008

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ミュージック・ブレス・ユー!!

津村記久子
オケタニアザミは「音楽について考えることは、将来について考えることよりずっと大事」な高校3年生。髪は赤く染め、目にはメガネ、歯にはカラフルな矯正器。数学が苦手で追試や補講の連続、進路は何一つ決まらない...

2007

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暗渠の宿

西村賢太
貧困に喘ぎ、暴言をまき散らし、女性のぬくもりを求め街を彷徨えば手酷く裏切られる。屈辱にまみれた小心を、酒の力で奮い立たせても、またやり場ない怒りに身を焼かれるばかり。路上に果てた大正期の小説家・藤澤清...
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ピカルディーの三度

鹿島田真希
「おれは、おれの知らなかった恋愛を先生がくれると思った」音大受験を控えた「おれ」と「先生」のレッスンは排泄の儀式から始まった―論議を呼んだ表題作「ピカルディーの三度」を含む5篇を収録。三島賞作家が描く...

2006

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名もなき孤児たちの墓

中原昌也
「パッパッパッ」と点滅する三色のランプが付いた銀色の箱。点滅のパターンを組み合わせて、あらゆる物語が伝達可能になった。ならばこれを使ってとびきりの楽しい話を、一つ披露してやろうじゃないか。芥川賞候補作...

2005

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二人乗り

平田俊子
嵐子、不治子、そして道彦。絡み合い、絶妙に輪舞するそれぞれの想いと因果。...
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四十日と四十夜のメルヘン

青木淳悟
配りきれないチラシが層をなす部屋で、自分だけのメルヘンを完成させようとする「わたし」。つけ始めた日記にわずか四日間の現実さえ充分に再現できていないと気付いたので...。新潮新人賞選考委員に「ピンチョン...

2004

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遮光

中村文則
恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら、彼女は今でも生きていると、その幸福を語り続ける男。彼の手元には、黒いビニールに包まれた謎の瓶があった―。それは純愛か、狂気か。喪失感と行き場のない怒りに覆われた青...
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ぐるぐるまわるすべり台

中村航
僕は大学を辞め、塾講師をする傍ら、バンドのメンバーを募集した。<熱くてクール、馬鹿でクレバー。最高にして最低なメンバーを大募集>。そんなうたい文句に集まったちくわ好きなベースの尾崎、黄金旋律を求めるギ...

2003

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ファンタジスタ

星野智幸
首相公選制がしかれた近未来の日本。投票を明日に控え、かつてサッカーのスタープレイヤーだった政治家・長田が圧倒的な支持率で最高権力者になろうとしている。人々はこの清新で危険なにおいのするカリスマに夢中だ...
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リトル・バイ・リトル

島本理生
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、母、小学校2年生の異父妹の女3人。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、二番目の父――。「家族」を軸にした人々とのふれあい...

2002

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縮んだ愛

佐川光晴
障害児学級のベテラン教員を襲った、ある「事件」。告白体で語られるその顛末と、物語にひそむミステリー。各紙誌で注目、期待の新鋭による芥川賞候補作。...
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海馬の助走

若合春侑
父親は、あの台風の三日後、家から消えた。「畜生、俺は負げねぇ」綜一は光を求め駆け出した。最新書き下ろし。...

2001

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ベラクルス

堂垣園江
情熱のメキシコに咲く生と死の物語。長編小説。...
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処方箋

清水博子
倦怠、閉塞感、遅滞する時の流れ、あてどない人間関係。平成の世に漂う青年たちの「気分」を精妙にうつす会心作。第125回芥川賞候補作。...

2000

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楽天屋

岡崎祥久
漂泊の魂が声を放つのだ―ここではないどこかへ!と。30過ぎ、臍の緒つき。無為徒食のクズ男といかれた女たちのさすらい。独自のユーモアと繊細なセンスで時代の空気を映すあたらしい文学。...
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ミューズ

赤坂真理
親に内緒でモデルの仕事をする高校生美緒は高級住宅地・成城の歯科医に恋を仕掛け、密会を重ねる。だが彼女には宗教にはまる母の施す“儀式”に失敗した過去があった―横溢するエロス、粘着する匂いと触感。裂かれた...

1999

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ラニーニャ

伊藤比呂美
離婚した「あたし」が、子連れで家を出て、日本も出て、向かった先は南カリフォルニア。荒涼とした不毛の地で繁殖するユーカリの木を目にした「あたし」は...。詩人として旺盛に活躍し続ける著者による傑作小説集...
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無情の世界

阿部和重
現実と妄想の区別を失った男子高校生が、夜の公園で不気味な光景に遭遇した―― これは現実なのか? それとも悪夢なのか? 不穏な空気で満ちた、少年の手記。『ABC 阿部和重初期作品集』に収録。...

1998

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おしゃべり怪談

藤野千夜
納会帰りに雀荘へ寄った四人のOLが、おしゃべりな男に包丁を突きつけられながら、延々と麻雀をする羽目に陥る表題作ほか、コミカルで、繊細で、温かく、ちょっぴり怖い四篇を収録した作品集。若者の日常に潜むいつ...

1997

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くっすん大黒

町田康
三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます―日本にパンクを実在させた町田康が...

1996

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フルハウス

柳美里
“家を建てる”が口癖だった父は、理想の家族を夢みて、払える金もないのに、いきなり立派な家を建てた。しかし成人した娘たちも、16年前に家を出た妻も、その家に寄りつかない。そこで父はホームレス一家を家に招...
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まどろむ夜のUFO

角田光代
私の知らない「彼女」にジャムを作り、いそいそ出かけていく高校生の弟・タカシ。魂の前世を信じる、弟の怪しげな友人・恭一。五日おきにデートする几帳面な同級生・サダカくん。三人の奇妙な男に囲まれ、過ぎていく...

1995

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私小説

水村美苗
夏目漱石の遺作を書き継いだ『続明暗』で鮮烈なデビューを果たし、前代未聞のバイリンガル小説『私小説from left to right』で読書人を瞠目させた著者が、七年の歳月を費やし、待望の第三作を放つ...
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夏至祭

佐藤洋二郎
廃坑の町を棄て、一人の少女を不幸にした負い目を残して都会へ出た靖雄は、過去の傷を抱え、孤独をなめるような生活を続ける。土の匂い、山の息吹に引かれるように戻った故郷は、ベッドタウンとして新たな活力と創造...

1994

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私の自叙伝前篇

竹野雅人

1993

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草の上の朝食

保坂和志
ぼくはさっき感じたズルズルと愛のようなものに自分が浸っていく気持ちを大事なもののように感じていたのだが、ズルズルがズルズルと一人で勝手に土俵を割っていったような気持ちになった...。前作『プレーンソン...
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ノヴァーリスの引用

奥泉光
十年前に起きた学友の不可解な死。深夜の大学図書館屋上からの墜落は事故か自殺か、それとも他殺だったのか?恩師の葬儀をきっかけに再会した当時の関係者たちの推理が、やがて不気味な謎を浮かび上がらせる。「犯人...

1992

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星条旗の聞こえない部屋

リービ英雄
横浜の領事館で暮らす17歳のベン・アイザック。父を捨て、アメリカを捨て、新宿に向かう。1960年代末の街の喧騒を背景に、言葉、文化、制度の差を超え、人間が直接に向き合える場所を求めてさすらう柔らかな精...

1991

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なにもしてない

笙野頼子
“ナニモシテナイ”幸福な私を脅かすのは?生きていることのリアリティを希求して、現実と幻想の世界を往還するモノロ-グの世界を描いた野間文芸新人賞受賞の表題作を含む2編を収録する第一小説集。(講談社文庫)...

1990

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ショート・サーキット

佐伯一麦
若くして父となったかれは生活のため配電工となった。都市生活者の現実に直面するうち3人の子供の父となり、妻はすでに子供たちのものになってしまった。今日も短絡事故(ショート・サーキット)が起こり、現場にか...

1989

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さして重要でない一日

伊井直行
未知の空間、会社という迷路を彷徨う主人公。トラブル、時間、おしゃべり、女の子、コピー機。著者独特の上品なユーモアの漂う、なにか、もの哀しくも爽やかな空気の残像。会社員の日常を鮮やかに切り取った、野間文...

1988

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ルイジアナ杭打ち

吉目木晴彦
父親の仕事の都合でルイジアナ州バトンルージュで暮らす日々を、両親や周囲の人々、風物を、少年の目を通して書きとめた新しい形式の短編集。深南部(ディープ・サウス)に住む異邦人としての非適応感覚を、クールに...

1987

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ヴェクサシオン

新井満
青山墓地に近い老朽アパートに住む、駆け出しのフリーCF演出家・雨宮三郎は、絵コンテを描く難聴の有泉遙子と出会う。彼女が弾くピアノ曲をきっかけにエリック・サティの音楽へ没頭した三郎は、奇妙な曲「ヴェクサ...

1986

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しずかにわたすこがねのゆびわ

干刈あがた
誰にでも、いつか、苦しみの指輪が回ってくる。全ての女性たちに、社会の矛盾の中でもがき苦しむ子供たちに、彼らとともに変革の時代を生きようと志す男性たちにも...深い絶望を超えた光を投げかけた干刈あがたの...
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ミモザの林を

岩阪恵子
清冽な抒情と透明な詩心を持つ新進女流詩人として出発。昭和61年『ミモザの林を』で野間文芸新人賞、次いで平成4年評伝『画家小出楢重の肖像』で平林たい子賞受賞。人生の機微を深く鮮やかに彫り彩る独自の散文世...

1985

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自由時間

増田みず子
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水平線上にて

中沢けい
《海は暗く深い女たちの血にみちている。私は身体の一部として海を感じている。……》 年上の男子生徒とのセックスの体験を鋭利な感覚で捉えて、身体の芯が震える程の鮮烈な感銘を与えた秀作。作家の出発を告げた群...

1984

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夢遊王国のための音楽

島田雅彦
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女からの声

青野聰
壊れかけている自分への痛切な思いを抱えて生きる〈ぼく〉。真実の絆を追って遍歴する妻の〈ナホミ〉。それぞれに性愛の相手を求め、さまよいつづける。ニューヨーク、小笠原、東京、ネパール、アフガニスタン……と...

1983

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雪野

尾辻克彦

1982

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羊をめぐる冒険

村上春樹
「羊のことよ」と彼女は言った。「たくさんの羊と一頭の羊」「羊?」「そして冒険が始まるの」 故郷の街から姿を消した〈鼠〉から〈僕〉宛に、ある日突然手紙が届く。同封されていた一枚の写真が、冒険の始まりだっ...

1981

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金色の象

宮内勝典
若者たちは、なぜオウムに走ったのか。いま、世界に不気味な明るい闇が拡がっている。人間の未来を問い続ける作家が、オウムの教義を徹底検証、論破する。...
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コインロッカー・ベイビーズ

村上龍
一九七二年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街...

1980

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遠雷

立松和平

1979

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光の領分

津島佑子
夫との別居に始まり、離婚に至る若い女と稚い娘の1年間。寄りつかない夫、男との性の夢、娘の不調、出会い頭の情事。夫のいない若い女親のゆれ動き、融け出すような不安を、“短篇連作”という新しい創作上の方法を...