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藤井重夫

1950年敗戦直後の大阪。四国の田舎町から、広島から、名古屋から、丹波から天王寺駅界隈にすみついた戦災孤児たちはたくましく生きる。そのひとり、虹を見るといつも泣き出すカズヒコと交番の巡査との暖かい心の交流を、独特の大阪の匂いにのせて描いた第53回直木賞受賞作。表題作ほか「風土」「善界」「牧歌」「世染-私版・夫婦善哉」を含む珠玉短編集。

藤井重夫

藤井 重夫(ふじい しげお、1916年2月10日 - 1979年1月17日)は、作家。 == 略歴 == 兵庫県豊岡市生まれ。豊岡商業学校卒(現兵庫県立豊岡総合高等学校)。第二次世界大戦中は中国大陸および南方に転戦する。戦後は、朝日新聞記者をしながら小説を書き、1951年、『佳人』で芥川賞候補、1959年に退社し作家に専念、1965年、大阪の戦災孤児を描いた『虹』(『オール讀物』発表)で直木賞を受賞した。 1979年1月17日、午前2時2分、脳出血のため世田谷中央病院で死去。