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この世の全部を敵に回して

白石 一文

「私には一人の息子と一人の娘、妻がいる。私は子供たちのことも妻のことも愛してはいない」「ほんとうに人間は癌のような存在だ。生みの親であるこの地球の生命存続のシステムから一人離脱して、そのシステムをいいように破壊し、無秩序に繁殖しているのだ」五十三歳の妻子ある男の手記は、一見このような人間への全否定の言説で埋め尽くされていく。しかし、彼は、呪詛めいた思いのために、この手記を綴ったのではなかった。白石文学の礎をなすと同時に、最高到達点となる問題作、待望の文庫化。

白石 一文

白石 一文(しらいし かずふみ、1958年8月27日 - )は、日本の小説家。父は直木賞作家の白石一郎。双子の弟は小説家の白石文郎。2010年「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞。初の親子二代での受賞となった。 == 来歴・人物 == 福岡県福岡市生まれ。福岡県立福岡高等学校29期を経て、早稲田大学政治経済学部卒業。その後、文藝春秋に入社、週刊誌記者、文芸誌編集などを経る。
誕生(1958-08-27) 1958年8月27日(62歳) 福岡県福岡市
職業小説家
言語日本語
国籍日本
最終学歴早稲田大学政治経済学部
活動期間1992年 -
ジャンル小説
代表作『一瞬の光』(2000年)『ほかならぬ人へ』(2009年)
主な受賞歴第16回すばる文学賞『惑う朝』(1992年)第22回山本周五郎賞『この胸
デビュー作『惑う朝』(1992年)