cover

きのね(上巻)

宮尾登美子

上野の口入れ屋の周旋だった。行徳の塩焚きの家に生れた光乃は、当代一の誉れ高い歌舞伎役者の大所帯へ奉公にあがった。昭和八年、実科女学校を出たての光乃、十八歳。やがて、世渡り下手の不器用者、病癒えて舞台復帰後間もない当家の長男、雪雄付きとなる。使いに行った歌舞伎座の楽屋で耳にした、幕開けを知らす拍子木の、鋭く冴えた響き。天からの合図を、光乃は聞いた…。

宮尾登美子

宮尾 登美子(みやお とみこ、1926年4月13日 - 2014年12月30日)は、日本の小説家。高知県高知市生まれ。高坂高等女学校卒業。『櫂』で注目されて以来、緻密な構成と、時代に翻弄されながらも逞しく生きる女性を描いた作風で多くの読者に支持された。高知の花柳界で育った体験を生かした自伝的作品のほか、芸道物、歴史物のモデル小説に優れる。文化功労者。 == 人物 == 高知の遊郭で芸妓紹介業(女衒)を営む岸田猛吾と愛人の子として生まれる。実母は女義太夫。
誕生(1926-04-13) 1926年4月13日 日本・高知県高知市
死没(2014-12-30) 2014年12月30日(88歳没)
職業作家
国籍日本
ジャンル小説
代表作『櫂』(1972年) 『岩伍覚え書』(1977年) 『一絃の琴』(197
主な受賞歴女流新人賞(前田とみ子名義)(1962年) 太宰治賞(1973年)女流文
デビュー作『連』(1962年,前田とみ子名義)