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頭の中の昏い唄

生島 治郎/日下 三蔵

どうにもならない。どうにもならない。ドウニモナラナイ…。男の未来は暗い。仕事仕事の毎日は彼を狂わせる。単調な日々に倦んだ男が、ある夜団地の屋上で、耳ざわりな童謡を歌っている少女と出逢い、人生が変わる表題作「頭の中の昏い唄」。香港に赴任した男が食と色の欲に溺れていく、脳味噌と胃袋を刺激する美食譚「香肉」。老人たちによってこき使われ搾取される若い世代が、ある日肩に現れた緑色の小人によって一致団結してゆく「世代革命」。スランプにおちいった作家に“やつ”がささやき、人格を乗っ取ろうとする「誰…?」など、必ずやあなたに悪夢をお贈りする、クールで鋭利な奇妙の味の短篇集。星新一による解説を再録。

生島 治郎/日下 三蔵

生島 治郎(いくしま じろう、1933年1月25日 - 2003年3月2日)は、日本の小説家。本名は小泉 太郎(こいずみ たろう)。早川書房の編集者から作家に転じ、『追いつめる』で直木賞を受賞した。日本に正統派ハードボイルドを移植した功労者の一人。 == 経歴・人物 == 上海生まれ。敗戦後、1945年に長崎に引き揚げ、母の郷里金沢に移る。その後、父が横浜で職を持ったため横浜に転居した。 中学3年から神奈川県立横浜翠嵐高等学校にかけての同期に青木雨彦と宮原昭夫がいた(ただし宮原は高校在学中に胸を患って数年間休学している)。