cover

日蝕えつきる

花村 萬月

女は軽井沢宿で飯盛女をしていたが、江戸に逃れて夜鷹となり、唐瘡に罹ってしまうー「千代」。歌舞伎の戯者になることを希う男児は、京から下り、希望とは裏腹に江戸の陰間茶屋で育てられることにー「吉弥」。貧乏長屋に住み、町芸者に入れ込んで借金を背負った浪人の男は、女房の不義密通を疑うのだがー「長十郎」。八丈島に住む娘は、御用船で送られてきた女犯僧らしき流人と懇意になるー「登勢」。濡れ衣の人殺しで入牢した男は、覚悟の準備をするのだが、そこで地獄の光景を目にし、自らも責問を受けるー「次二」。鬼気迫る五つの暗黒物語。

花村 萬月

花村 萬月(はなむら まんげつ、本名:吉川 一郎、1955年〈昭和30年〉2月5日 - )は、日本の男性作家。東京都出身。現在、京都府在住。 == 経歴 == 東京都生まれ。父親は明治の生まれで、母親とは30歳ほど離れていた。生まれて間もなく蒸発した父親が小学校入学後に戻り、旧仮名遣いの本で読書を強制される。父親の方針により小学校を休みがちになったが、様々な学問の基礎を父親から教わる。問題行動の多い子どもであったため小学校6年のときに児童相談所に送られ、福祉施設の東京サレジオ学園付属小平育英学院サレジオ中学校へ進む。
誕生(1955-02-05) 1955年2月5日(65歳) 東京都
職業小説家
国籍日本
活動期間1989年 -
ジャンル小説
主な受賞歴小説すばる新人賞(1989年)吉川英治文学新人賞(1998年)芥川龍之介