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春秋山伏記

藤沢 周平/村上 豊

崖の下に伸ばした母親の腕に女の子がぶら下がっている。辺りには人影もなく、かよわい女の力では引っ張り上げることができない。母親の腕の力が尽きかけたその時、山伏が現れて、子供を救い上げた。大鷲坊と名のるこの山伏は、白装束に高下駄、髭面の大男。羽黒山からこの村の薬師神社の別当に任ぜられてきたのだが、神社には長年住み着いている偽山伏がいて、村人たちの信望を集めていた…。山伏と村人たちとの交流を通して、著者が愛してやまない郷里山形県荘内の人々の往時の暮らしを、郷愁をこめて書き綴った時代長編。

藤沢 周平/村上 豊

藤沢 周(ふじさわしゅう、1959年1月10日 - )は日本の小説家、法政大学教授。 新潟県西蒲原郡内野町(現・新潟市西区)出身。神奈川県鎌倉市在住。新潟明訓高等学校、法政大学文学部卒業。書評誌『図書新聞』編集者などを経て1993年『ゾーンを左に曲がれ』(『死亡遊戯』と改題)でデビュー。1998年『ブエノスアイレス午前零時』で第 119 回芥川賞受賞。日本文学協会に所属する研究者。2004年より母校・法政大学経済学部の教授に就任し、「文章表現」「日本文化論」などを講じている。