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「静かなノモンハン」

伊藤桂一

昭和十四年五月、満蒙国境で始まった小競り合いは、関東軍、ソ蒙軍間の四ヵ月に亘る凄絶な戦闘に発展した。襲いかかる大戦車群に、徒手空拳の軽装備で対し、水さえない砂また砂の戦場に斃れた死者八千余。生還した三人の体験談をもとに戦場の実状と兵士たちの生理と心理を克明に記録、抑制された描写が無告の兵士の悲しみを今に呼び返す。芸術選奨文部大臣賞、吉川英治文学賞受賞の戦争文学の傑作。
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伊藤桂一

伊藤 桂一(いとう けいいち、1917年8月23日 - 2016年10月29日)は、日本の小説家、詩人。『静かなノモンハン』などの戦場小説や、時代小説、私小説風な身辺小説などがある。日本芸術院会員。 == 経歴 == === 生い立ち === 三重県三重郡神前村(現四日市市)の天台宗高角山大日寺に生まれる。4歳の時に交通事故で父が亡くなり、寺の所有を巡る争いから7歳の時に家族で大阪に出て祖母、叔母と同居。次いで1926年9歳の時に東京と転々とし、妹の療養のため徳山市にも2年間付き添った。 教師を志して青山師範学校を受験するが失敗し、1932年15歳の時に立正中学に入学、文学に熱中する。 1934年に曹洞宗の寺院に見習いとして入寺し、旧制世田谷中学に転校。
誕生1917年8月23日 日本・三重県三重郡神前村(現四日市市)
死没(2016-10-29) 2016年10月29日(99歳没)
職業小説家、詩人
国籍日本
最終学歴旧制世田谷中学
活動期間1948年 - 2016年
ジャンル戦場小説、時代小説、身辺小説
代表作『螢の河』(1962年)『静かなノモンハン』(1983年)
主な受賞歴千葉亀雄賞(1952年)直木賞(1962年)芸術選奨文部大臣賞、吉川英治
デビュー作『晩青』(1949年)