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中上健次

紀州の山と川と海に閉ざされた土地で、逃れがたい血の桎梏にもがく青年“秋幸”の内なる滾りと切なる叫び―。血縁地縁の深みを照らし、独自の文学世界を切り拓いた芥川賞受賞作「岬」をはじめ、架空の隠国市を舞台に路地の業火を濃密に描いた文庫初収録作品「臥龍山」「藁の家」。故郷・熊野をめぐる荒くれ男の漂泊譚に、虚と実の玄妙が鮮やかに映し出される「修験」と「化粧」。哀切に充ちた究極のエロティシズムを流麗な文体に結晶させた「重力の都」。根の国・熊野を豊かに覆う中上文学の甘美なるエッセンスを凝縮した選集最終巻。

中上健次

中上 健次(なかがみ けんじ、1946年8月2日 - 1992年8月12日)は、日本の小説家。妻は作家の紀和鏡、長女は作家の中上紀、次女は陶芸家で作家の中上菜穂。戦後生まれでは初の芥川賞作家。 和歌山県新宮市生まれ。和歌山県立新宮高等学校卒業。羽田空港などで肉体労働に従事したのち、執筆に専念する。紀伊半島を舞台にした数々の小説を描き、ひとつの血族と「路地」(中上健次は被差別部落の出身であり、自らの生まれた部落を「路地」と名付けた)のなかの共同体を中心にした「紀州熊野サーガ」とよばれる独特の土着的な作品世界を作り上げた。1976年『岬』で第74回芥川賞を受賞、戦後生まれで初めての芥川賞作家となった。
誕生1946年8月2日 日本・和歌山県新宮市
死没(1992-08-12) 1992年8月12日(46歳没) 日本・和歌山
墓地和歌山県新宮市南谷墓地
職業小説家エッセイスト
言語日本語
国籍日本
最終学歴和歌山県立新宮高等学校卒業
活動期間1965年 - 1992年
ジャンル小説エッセイ
主題紀州・熊野・「路地」・血族・性愛・物語・現代思想・アジア
代表作『岬』(1976年)『枯木灘』(1977年)『鳳仙花』(1980年)『千
主な受賞歴芥川龍之介賞(1976年)毎日出版文化賞(1977年)芸術選奨新人賞(1
デビュー作「十八歳」(1965年)
配偶者紀和鏡
子供中上紀、中上菜穂