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上海1930年

尾崎秀樹

1928年11月、ひとりの新聞記者が上海に赴任した。後にゾルゲ事件によってスパイとして処刑される尾崎秀実は、混迷の只中にある中国の現実に直面し、魯迅、スメドレー、ゾルゲ等の知識人たちと交流しながら、中国の民族的解放やアジアの自立の途を探る。兄・秀実の生と死を追跡してきた著者が、“魔都”上海を舞台に描く青春群像。

尾崎秀樹

尾崎 秀樹(おざき ほつき、1928年(昭和3年)11月29日 - 1999年(平成11年)9月21日)は、日本の文芸評論家。ゾルゲ事件の研究や、大衆文学評論に尽くした。 ゾルゲ事件の尾崎秀実は異母兄。同母妹の田才秀季子(ほすえこ)は、チェコ文学者田才益夫の妻。妻の尾崎恵子は執筆のアシスタントでもあり、秀樹との共著が二冊ある。歴史学者・政治学者の今井清一は義理の甥(秀実の娘の夫)。 == 経歴 == === 生い立ち === 台湾台北市に尾崎秀真と、愛人の吉田きみとの子として生まれ、母の私生児として育つ。1933年に秀真の本妻が死去し、母が秀真の妻となり、秀樹も尾崎家に入籍する。