塩壷の匙
車谷長吉
吉祥天のような貌と、獰猛酷薄を併せ持つ祖母は、闇の高利貸しだった。陰気な癇癪持ちで、没落した家を背負わされた父は、発狂した。銀の匙を堅く銜えた塩壷を、執拗に打砕いていた叔父は、首を縊った。そして私は、所詮叛逆でしかないと知りつつ、私小説という名の悪事を生きようと思った。-反時代的毒虫が二十余年にわたり書き継いだ、生前の遺稿6篇。第6回三島由紀夫文学賞。芸術選奨文部大臣新人賞。
誕生 | (1945-07-01) 1945年7月1日兵庫県飾磨市 |
死没 | (2015-05-17) 2015年5月17日(69歳没)東京都文京区[ |
職業 | 小説家 |
言語 | 日本語 |
国籍 | 日本 |
教育 | 学士(文学) |
最終学歴 | 慶應義塾大学独文科 |
活動期間 | 1972年 - 2015年 |
ジャンル | 私小説・俳句 |
代表作 | 『鹽壺の匙』(1992年)『漂流物』(1996年)『赤目四十八瀧心中未遂 |
主な受賞歴 | 芸術選奨新人賞(1993年)三島由紀夫賞(1993年)平林たい子文学賞( |
デビュー作 | 「なんまんだあ絵」 |