cover

死者におくる花束はない

結城 昌治

時間商・志賀の素行調査を依頼された私立探偵・佐久は、直ちに志賀の尾行調査を開始した。だが、その翌日、志賀の妻の絞殺死体が発見される。次いで調査依頼者から契約の打ち切り通告が来る。謎にいどむ探偵・佐久は、ついに事件の核心に辿り着くのだが…。私立探偵・佐久と久里十八のコンビを主人公とした作品は、本作のほか『死の報酬』等。日本ハードボイルド界の先駆者である結城昌治が、当時としては珍しいコメディ仕立てで構成した野心作である。

結城 昌治

結城 昌治(ゆうき しょうじ、1927年2月5日 - 1996年1月24日)は日本の小説家・推理作家。本名、田村幸雄。都筑道夫の命名によるこの筆名は、本来「ゆうき・まさはる」と読ませたが、しょうじと誤読されることが多いため、そのまましょうじとなった。 まだ日本にハードボイルド小説というものが浸透していなかった時期にハードボイルドを書いたことから「ハードボイルド小説の先駆者」といわれる。生島治郎の筆名の名付親でもある。ユーモアミステリも多く、この分野においても天藤真を奮起させるなど、先覚の位置を占める。 == 経歴 == 1927年、東京市品川区生まれ。1939年、戸越小学校卒業。