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火野 葦平/ルゴーネス

河童が消息を絶った。「名探偵」がゆくえを追い、想いを寄せる女の河童は悲嘆に暮れる。暗愚にして真摯なる精神が夢みた「昇天」までの寓話(火野葦平『伝説』)。赤銅の雨が降る夜、終末への戦慄を覚えながらも享楽の宴をつづける人間の姿があった(ルゴーネス『火の雨』)。十六歳で亡くなった少女が、死者の透明な視線で生者の光景を語る、吉村昭『少女架刑』。危機を予感しながらも、無自覚な日常に退却してゆく精神の不隠さ。特異な設定のなかに、「人間的なるもの」の意味を問う。
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火野 葦平/ルゴーネス

火野 葦平(ひの あしへい、1907年(明治40年)1月25日 - 1960年(昭和35年)1月24日)は、昭和戦前・戦後期の小説家。本名玉井 勝則。 == 人物 == 福岡県遠賀郡若松町(現・北九州市若松区)で、沖仲仕「玉井組」を営んだ玉井金五郎の三男二女の長男として生まれる。自伝的作品『花と竜』などに書かれているように、父・金五郎は現在の愛媛県松山市の出身、母・マンは現在の広島県庄原市の出身。 旧制小倉中学校(現福岡県立小倉高等学校)卒業、早稲田大学英文科中退。『糞尿譚』で芥川賞を受賞、その後の『麦と兵隊』は大きな評判をよび、『土と兵隊』『花と兵隊』とあわせた「兵隊3部作」は300万部を超えるベストセラーとなった。東京と福岡に本拠を二分し、東西を往復しての執筆活動で多忙を極めた。著述業と共に「玉井組」2代目も務める。
誕生玉井勝則 (1907-01-25) 1907年1月25日福岡県遠賀郡若松
死没(1960-01-24) 1960年1月24日(52歳没)福岡県若松市(
職業小説家
言語日本語
最終学歴早稲田大学英文科中退
代表作『糞尿譚』『麦と兵隊』『花と竜』
主な受賞歴芥川賞日本芸術院賞