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兵士の報酬

野呂邦暢

故郷長崎・諌早に根をおろし、端正で強靱な文体によって独自の文学世界を紡ぎつづけた作家野呂邦暢(1937-1980)。小説にとどまらないその文業を集成する“随筆コレクション”(全2巻)をここに刊行する。第1巻にあたる本書は、初めて公の活字になった文章「ルポ・兵士の報酬ー第八教育隊」(日本読書新聞“読者の論文”入選、1962年)ほか、1962-77年発表の210編余(うち単行本未収録作品79編)を収録。

野呂邦暢

野呂 邦暢(のろ くにのぶ、1937年9月20日 - 1980年5月7日)は、日本の小説家。長崎県長崎市出身。本名は納所邦暢(のうしょ くにのぶ)。自らの自衛隊体験や、戦後住んだ諫早市を舞台にした小説・随筆を数多く残した。 == 生涯 == 長崎市岩川町に土建業を営む両親のもとに、6人兄弟の次男として生まれる。1945年銭座国民学校2年の時に父が応召したため、母の実家で祖母と叔父の住む諫早市に疎開。長崎の原爆投下で爆発を目撃、この被害により長崎市に残した家財一切を失い、戦後も諫早に住む。1950年北諫早中学校に入学。