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折口信夫論

松浦寿輝

主著『死者の書』に代表される折口の幻惑的な世界。著者は「ふと折口みたいな文章が書けたらと夢見てしまう心の弱さを自分の中で力まかせに抑圧してしまうことをせず...折口の言葉そのものの中で折口から遠ざかろうと努める」(本書後記)という姿勢でその世界に挑む。それにより古典的な伝記研究とは一線を画し、折口作品そのものを読み解き、作品と密着した批評の言葉を発生させることで、他の折口論にはない本書固有の表現を勝ち得た。特異な言葉の魅力を具えた折口と、詩・映画評論でも才を発揮する芥川賞作家との深遠なる闘い。そこから評論を超えた言語空間が生まれる。第9回三島由紀夫賞受賞作。

松浦寿輝

松浦 寿輝(まつうら ひさき、1954年3月18日 - )は、日本の詩人、小説家、フランス文学者、批評家、東京大学名誉教授。毎日出版文化賞、高見順賞、読売文学賞選考委員。日本藝術院会員。 == 人物 == 東京都出身。幼少期から映画に親しむ。家のすぐ裏側が映画館であったと、初の映画評論集『映画n-1』の後書きに記されている。クリント・イーストウッド、ベルナルド・ベルトルッチ、特にアルフレッド・ヒッチコックの監督作品をこよなく愛しており、東大の映画講義でもしばしば言及する。ただし、ジャン=リュック・ゴダールに対しては、近年のあからさまなアジア蔑視に対して疑問を感じている。
誕生(1954-03-18) 1954年3月18日(66歳) 日本・東京都
職業詩人・小説家・フランス文学者・批評家
言語日本語
国籍日本
教育博士(学術)
最終学歴東京大学大学院仏文科
活動期間1982年 - (詩人として)1996年 - (作家として)
ジャンル小説・詩・評論
代表作『花腐し』(2000年)『半島』(2004年)『川の光』(2007年)『
主な受賞歴高見順賞(1988年)吉田秀和賞(1995年)三島由紀夫賞(1996年)
デビュー作『もののたはむれ』(1996年)