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路地

三木卓

名刹が点在し、高級住宅地が広がる古都・鎌倉。だが、そんな町にも様々な人生が交錯する“路地”がある。古書店主、観光人力車を曳く男、図書館勤めの小市民...、市井の七人それぞれが過去に秘めている小さな罪や愛が、彼らの平穏な日常を波立たせる一瞬を犀利に捉え、人生の細やかな真実を温もりと共に掬いあげる短篇連作。谷崎潤一郎賞受賞作。

三木卓

三木 卓(みき たく、1935年5月13日 - )は、日本の小説家、詩人、翻訳家。日本芸術院会員。紫綬褒章。芸術院恩賜賞。 == 来歴・人物 == 本名、冨田三樹。東京に生まれるが、満洲日日新聞などの新聞記者だった父に連れられて一家で1937年(昭和12年)から1943年の2歳から小学校2年までの6年間、大連に移住して過ごす。かつて実業之日本社で児童文学の編集者をしていた父に与えられた少年少女文学集など多くの本に大きな影響を受ける。しかし敗戦で引き揚げを余儀なくされ、帰国途中で父、祖母らを亡くす。