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サマーバケーションEP

古川 日出男

学校には行かなかった。集団生活は難しい。僕には、人の顔がわからないんだ。だから匂いと声で、手を握って、人を見分けてる。20歳を過ぎ自由行動を許されて、井の頭公園にやって来た。冒険するために!公園の湧水は川となって高田馬場を、水道橋を流れ、御茶ノ水を通って隅田川に注ぎ、海に出る。神田川が終わるところを見るために、僕は、公園から海に向かって歩き出す。だってそれが、サマーバケーションだから。

古川 日出男

古川 日出男(ふるかわ ひでお、1966年7月11日 -)は、日本の小説家、劇作家。 == 経歴 == 福島県郡山市出身。福島県立安積高等学校卒業。早稲田大学第一文学部中退後、編集プロダクションに勤務。高校で演劇部に所属して以降演劇に関わり、1991年より舞台演出家として活動、戯曲も30本以上書いたという。 1994年、『砂の王(ウィザードリィ外伝)』(現在未完)で小説家としてデビュー。2002年、『アラビアの夜の種族』で第55回日本推理作家協会賞・第23回日本SF大賞を受賞。2005年、『ベルカ、吠えないのか?』で第133回直木三十五賞候補。