cover

神無き月十番目の夜(小学館文庫)

飯嶋 和一

慶長七年(一六〇二)陰暦十月、常陸国北限、小生瀬の地に派遣された大藤嘉衛門は、野戦場の臭気が辺りに漂う中、百軒余りの家々から三百名以上の住民が消えるという奇怪な光景を目の当たりにする。いったいこの地で何が起きたのか?嘉衛門はやがて、地元の者が「カノハタ」と呼ぶ土地に通ずる急峻な山道で、烏や野犬に食い荒らされるおびただしい死体を発見した。恭順か、抵抗かー体制支配のうねりに呑み込まれた土豪の村の悪夢。長く歴史の表舞台から消されていた事件を掘り起こし、その「真実」をミステリアスかつ重厚に描いて大絶賛された戦慄の物語。

飯嶋 和一

飯嶋 和一(いいじま かずいち、1952年12月20日 - )は、日本の小説家。ジャンルは主に歴史小説。 == 来歴・人物 == 山形県山形市生まれ。法政大学文学部卒業。中学校教諭、予備校講師などを経て執筆活動に専念。これまで刊行された長編作品は文芸誌の連載ではなく、全て書き下ろしの小説である。2009年8月から刊行されている小学館の「STORY BOX」に、初めての連載となる『狗賓童子の島』を執筆している。2012年5月に連載終了後、翌月号より新連載『灯守り』が始まる。