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誘惑者

高橋 たか子

噴煙吹き上げる春まだ浅い三原山に、女子大生がふたり登っていった。だが、その後、夜更けに下山してきたのは、なぜかひとりだけー。遡ること一ヶ月前、同様の光景があり、ひとり下山した女子大生は同一人物だった。自殺願望の若い女性ふたりに、三原山まで同行して、底知れぬ火口に向かって投身させた自殺幇助者の京大生・鳥居哲代。生きていることに倦んだ高学歴の女学生たちの心理を精緻に描き、自殺者と自殺幇助者になっていく軌跡をミステリー風に仕立てた悽絶な魂のドラマ。高橋たか子の初期長編代表作で第4回泉鏡花賞を受賞。

高橋 たか子

高橋 たか子(たかはし たかこ、1932年(昭和7年)3月2日 - 2013年(平成25年)7月12日)は、日本の小説家。旧姓岡本、本名和子(たかこ)。夫高橋和巳の死後本格的に作家活動に入り、『空の果てまで』『誘惑者』などを発表。愛憎を超えた不可解な心理の深層を描き続けた。カトリックに入信、渡仏して観想修道生活を送った(のち還俗して帰国)。 == 来歴・人物 == 京都府京都市下京区醒ヶ井通仏光寺下ル荒神町で、父・岡本正次郎、母・達子の長女として生まれる。父親は旧制名古屋高等工業学校建築科を卒業し、京都府警察部建築課に勤めていた。尋常小学校時代に等持院北町に転居し、京都府立嵯峨野高等女学校から府立山城高校を経て、1954年(昭和29年)、京都大学文学部フランス文学科卒。
誕生岡本 和子1932年3月2日京都府京都市下京区
死没(2013-07-12) 2013年7月12日(81歳没) 日本 神奈川
言語日本語
国籍日本
最終学歴京都大学文学部フランス文学科卒
ジャンル小説
代表作『空の果てまで』(1974年)『誘惑者』(1976年)『ロンリー・ウーマ
主な受賞歴田村俊子賞(1973年)泉鏡花文学賞(1976年)女流文学賞(1977年
配偶者高橋和巳