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海獣・呼ぶ植物・夢の死体 初期幻視小説集

笙野 頼子

「この人もう終わってるね?」-「終わるものか」ある日突然「私小説」の主人公が男から女になる。二十五歳でデビュー後、十年間本は出ず、八〇年代の片隅風呂なし四畳半送金あり、痛みと希死念慮をかかえた独居の歳月。不屈の思考と憧憬で紡いだ、幻の初期作品群。現在から過去を振り返る書下ろし「記憶カメラ」併録。

笙野 頼子

笙野 頼子(しょうの よりこ、1956年3月16日 - )は日本の小説家。本姓・市川。三重県出身、立命館大学法学部卒。 自称「神道左翼」の立場からラディカルな政治性を打ち出し、私小説と幻想小説を周到なメタフィクションやポリフォニーを用いて過激に混成させた作風で、「闘う作家」「メタの女王」などと呼ばれる。 2011年度より立教大学特任教授(文学研究科・比較文明学専攻博士課程前期課程)。 == 概要 == 自らアヴァン・ポップ作家と称し、藤枝静男や内向の世代などの影響を受けた独自の私小説を得意とする。概説的には世界への違和感を社会的な視座に見据えつつ、不穏な幻想とスラップスティックなユーモアによって批評的に描くスタイルと言え、この傾向は90年代後半、「論争」を経てからより顕著になった。 初期の作品は緊密な文体で鬱屈した観念・心理表現と澄明な幻想描写の融和を試行した難解なものが多く、発表できても反応はほとんどなかったが、1990年代に賞を立て続けに獲得したことで一気に評価が高まった。
誕生市川 頼子(いちかわ よりこ) (1956-03-16) 1956年3月
職業小説家
言語日本語
国籍日本
教育学士(法学)
最終学歴立命館大学法学部
活動期間1981年 -
ジャンル小説
主題ジェンダー・フェミニズム
文学活動ポストモダン文学幻想小説私小説
代表作『二百回忌』(1993年)『タイムスリップ・コンビナート』(1994年)
主な受賞歴群像新人文学賞(1981年)野間文芸新人賞(1991年)三島由紀夫賞(1
デビュー作『極楽』(1981年)