堤中納言物語・うつほ物語
干刈 あがた/津島 佑子
『堤中納言物語』には、いまに通じる個性的な人間像が、あふれる機知とユーモアで描かれている。毛虫を愛する型破りなお姫さまや、片思いに身を焦がす憂愁な貴公子などの登場人物たちが、この世界最古の短編小説集に、いきいきとした生命を吹きこんでいる。『うつほ物語』は、全二十巻という日本最古の長編物語であり、その成立、内容ともに謎をひめた新発見の魅力にみちている。天上の琴を守り伝える芸術一家四代の数奇な物語の背景に、恋のさやあてや貴族の祝祭などの王朝ロマンが、絢爛豪華にくりひろげられる。