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プレオー8の夜明け

古山 高麗雄

名もなき兵士たちの日常を描いた芥川賞受賞の戦争文学ー第二次大戦後、戦犯容疑でサイゴン刑務所に抑留された日本兵の鬱屈した日々をユーモアたっぷりに描いた第63回芥川賞受賞作「プレオー8の夜明け」。他に処女作「墓地で」から、晩年の名品「セミの追憶」(第21回川端康成文学賞受賞作)まで、戦争の記憶をつむぐ短編十六作を収録。戦後七十年を超え、戦下の記憶は風化するにまかされる。三十年にわたる筆者の貴重な営みを通じ、名もなき兵士たちは、何を考え死んでゆき、生き残った者たちは何を思うのかー今改めてその意味を問いかける珠玉の“戦争文学短編集”。

古山 高麗雄

古山 高麗雄(ふるやま こまお、1920年(大正9年)8月6日 - 2002年(平成14年)3月11日)は、日本の小説家、随筆家、編集者。芥川賞作家。 主として太平洋戦争での従軍体験や戦後の生活を舞台にした小説を発表し、いかなる場においても変わることのない人間のありかたを描き出した。 == 略歴 == 1920年(大正9年) - 朝鮮新義州で開業医の家庭に生まれる。 1938年(昭和13年) - 新義州中学校首席卒業。成績面では平安北道知事賞を受けて卒業式で答辞を読む資格があったが、自習の時間に抜け出して池でスケートをするなどの行動が問題視され、知事賞も答辞も認められなかった。 1939年(昭和14年) - 第二高等学校理科不合格。筆記試験は合格だったが、面接で「教練と体操は嫌いです」と言ったせいで落とされたという(『人生、しょせん運不運』P.70-71)。