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長い道・同級会

柏原 兵三

太平洋戦争末期、東京から富山の漁村に疎開した小学5年生の杉村潔。その潔に対して屈折した感情をいだく地元の少年、竹下進。進は潔に表面上は友好的に接しながらも、裏で陰湿な悪事を繰り返し、潔はそれに戸惑う。都会からの疎開児への地元っ子の愛憎を中心に、戦争の影にゆれる海辺の村で繰り広げられる人間模様を描いた自伝的作品。のちに「少年時代」として漫画化、映画化もされた。また「長い道」の後日譚「同級会」と、特別に映画「少年時代」の脚本を手掛けた山田太一氏の解説(1989年執筆)も併録。

柏原 兵三

柏原 兵三(かしわばら ひょうぞう、1933年11月10日 - 1972年2月13日)は、日本の作家、ドイツ文学者。 == 経歴 == 千葉県千葉市出身。父は運輸通信省自動車局長や大日本産業報国会理事長を務めた柏原兵太郎。母は陸軍中将・第101師団長伊東政喜の娘。 東京市渋谷区立千駄谷小学校在学中、1944年4月、父の郷里の富山県下新川郡入善町吉原に縁故疎開し、入善町立上原小学校(後に廃校)に転入。敗戦に伴って1945年9月に帰京するまでを同校で過ごし、よそ者として過酷ないじめを受け、この時の体験を中学時代から『長い道』として小説に書き始めた。 東京都港区立新星中学校(現・港区立青山中学校)から東京都立日比谷高等学校を経て、1953年、千葉大学医学部に入学するも中退し、1954年東京大学教養学部文科II類入学。1958年に東京大学文学部独文科を卒業し、一浪して東京大学大学院人文科学研究科修士課程(独語独文学専攻)に進む。
誕生1933年11月10日千葉県千葉市
死没(1972-02-13) 1972年2月13日(38歳没)東京都文京区
墓地寛永寺第一霊園
職業小説家、ドイツ文学者
最終学歴東京大学大学院人文科学研究科
ジャンル小説
代表作『徳山道助の帰郷』(1967年)『長い道』(1969年)
主な受賞歴芥川龍之介賞(1968年)