戦場のコックたち
深緑野分
生き残ったら、明日は何が食べたい? 1944年、若き合衆国コック兵が遭遇する、戦場の“日常の謎” 『ベルリンは晴れているか』の著者の初長編、直木賞・本屋大賞候補作 1944年6月、ノルマンディー降下作戦が僕らの初陣だった。特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエドら同年代の兵士たちとともに過酷なヨーロッパ戦線を戦い抜く中、たびたび戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件、塹壕戦の最中に聞こえる謎の怪音――常に死と隣あわせの状況で、若き兵士たちは気晴らしのため謎解きに興じるが。戦場の「日常の謎」を連作形式で描き、読書人の絶賛を浴びた著者初の長編ミステリ。 【目次】 プロローグ 第一章 ノルマンディー降下作戦 第二章 軍隊は胃袋で行進する 第三章 ミソサザイと鷲 第四章 幽霊たち 第五章 戦いの終わり エピローグ 主要参考文献ほか 解説=杉江松恋