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子守唄しか聞こえない

松尾依子

山と海に囲まれた田舎町に暮らす女子高生、美里。理由なきいらだちと閉塞感を抱えている美里の日常は、男子生徒4人に囲まれ、一見満ち足りて見えた。「愚鈍な真沙子」が美里を羨み、鬱陶しくつきまとってくるまでは―。男友達との間にまで知らぬ間に割り込んでいた真沙子を前に、美里のエゴは、やがて統制を失っていく。フラッシュバックする幼き日の海に落ちた記憶、干支を訊ねる謎の老婆、男友達の家出、そして―。閉塞する現代の「理由なき反抗」ひと夏の成長物語。第51回群像新人賞受賞作。

松尾依子

松尾 依子(まつお よりこ、1984年 - )は、日本の小説家である。神奈川県生まれ。共立女子大学文芸学部卒業。 == 経歴 == 2008年、第51回群像新人文学賞を「子守唄しか聞こえない」で受賞。