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飛族

村田喜代子

この島にいるのは、ふたりの老女だけ 朝鮮との国境近くの島でふたりの老女が暮らす。 九二歳と八八歳。 厳しい海辺暮らしとシンプルに生きようとする姿! 傑作長編小説。 「わしは生まれて九十年がとこ、この島に住んで、 今が一番悩みもねえで、安気な暮らしじゃ。 おまえは妙な気遣いばせんで、 さっさと水曜の朝に船で去んでしまえ」 ——かつて漁業で栄えた養生島に、 女二人だけで暮らしている。 母親のイオさんは、九十二歳。 海女友達のソメ子さんも、八十八歳。 六十五歳のウミ子が、ふたりを見ている。

村田喜代子

村田 喜代子(むらた きよこ、1945年4月12日 - )は、日本の小説家。日本芸術院会員、梅光学院大学文学部客員教授。九州国際大学客員教授。福岡県中間市在住。旧姓は貴田。 == 来歴・人物 == 福岡県八幡市(現在の北九州市八幡西区)出身。両親の離婚後生まれたため、戸籍上は祖父母が父母となる。市役所のミスで一年早く入学通知が来たため、1951年小学校入学。