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無明長夜

吉田知子

“御本山”の黒い森をみつめて、白い闇の道を歩いた女の20年……。一種底の知れない、暗く混沌とした世界の中で、病める魂の咆哮を聞く芥川賞受賞作『無明長夜』。“捨てる”ことを根源に、自らの道を開こうとした著者の、戦後の出発を語る『豊原』。ほかに『寓話』『終りのない夜』など、新しい世代の世界とイメージを持って、多様な才能を遺憾なく発揮した作品群。ほか『静かな夏』『生きものたち』『わたしの恋の物語』全7編を収める。

吉田知子

吉田 知子(よしだ ともこ、1934年2月6日 - )は、日本の小説家。 夫は詩人の吉良任市。 == 来歴・人物 == 静岡県浜松市生まれ。名古屋市立女子短期大学経済科卒業。本姓は吉良。祖父は陸軍少将・蟹江冬蔵、父は陸軍中佐・蟹江元(はじめ)。新京(現・長春)、満州北部のナラムト等で幼年時代を過ごす。終戦時は樺太の豊原に居住しており、1947年に引き揚げる。