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北の河

高井有一

戦争ですべてを失った母の絶望と孤独。 昭和20年、すでに夫を喪い、家も戦火に焼かれてしまった母子が、遠縁を頼って東北の寒村に身を寄せる。だが、そこは安住の地ではなかった。 頼るべき知己もおらず、終戦後は都会に戻るという希望も断ち切られ、迫りくる厳しい冬を前に、母は自ら死を選ぶ……。ノンフィクション作品のような感情を抑えた筆致が、かえって読む人の想像を掻き立てる。 第54回芥川賞に輝いた表題作のほか、やはり身近な人の死をテーマにした「夏の日の影」「霧の湧く谷」、大学の二部に通う学生たちの葛藤を描いた「浅い眠りの夜」の三篇を収録。

高井有一

高井 有一(たかい ゆういち、1932年4月27日 - 2016年10月26日)は、日本の小説家。内向の世代の作家の一人。本名は田口哲郎(たぐち てつお)。日本芸術院会員。 祖父は角館町出身の小説家だった田口掬汀(たぐち きくてい)、父は画家の田口省吾(しょうご)、妻はジャーナリストの中村輝子。 == 来歴・人物 == 父田口省吾、母信子の長男として、東京府北豊島郡長崎町(現・東京都豊島区)に生まれる。1943年祖父、父があいついで死去。1945年母妹とともに秋田県へ疎開するが、11月に母が死去し、母方の叔父最上孝敬に引き取られる。
誕生田口 哲郎1932年4月27日東京府北豊島郡長崎町(現・東京都豊島区)
死没(2016-10-26) 2016年10月26日(84歳没)
職業小説家
国籍日本
教育学士(文学)
最終学歴早稲田大学第二文学部英文学科
活動期間1965年 - 2016年
文学活動内向の世代
代表作『夢の碑』『この国の空』『夜の蟻』『時の潮』
主な受賞歴芥川龍之介賞(1965年)芸術選奨文部大臣賞(1977年)谷崎潤一郎賞(
デビュー作『夏の日の影』(1965年)
配偶者中村輝子
親族田口掬汀(祖父)田口省吾(父)