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ネコババのいる町で

瀧澤美恵子

わずか三歳でロスアンジェルスから一人、日本へ送られた恵里子は、実の母に捨てられたショックで失語症に陥る。家にいるのは気性のはっきりした叔母と口さがない祖母のふたり。隣家には「ネコババ」と祖母が呼ぶ女性。ネコババの家にはやさしいおじさんと「ネコバン」。行き場のない幼い少女の心をなぐさめるのはネコたち。生みの親が不在の家庭で、恵理子は人間のきずなというものを学んで成長していくが……。芥川賞受賞の表題作ほか二篇を収録。

瀧澤美恵子

瀧澤 美恵子(たきざわ みえこ、1939年3月1日 -2020年8月9日)は、日本の小説家。 == 略歴 == 新潟県中蒲原郡村松町出身。旧本名・岡村美枝子。新潟県立村松高等学校卒業、1960年東京外国語大学外国語学部中国語学科中退。1961年日産汽船入社、1964年マーシュ・アンド・マクレナン勤務。1980年滝澤淳と結婚。81年退社し専業主婦となる。1987年朝日カルチャーセンターの駒田信二の小説教室に入る。