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年の残り

丸谷才一

69歳の病院長が最近しきりに思うのは、遠い若き日々と自らの老い、そして死んでしまった友人知人たち。患者の少年を診るにつけ、その昔縁談のあった少年の美貌の伯母を思い出す。死が淡く濃く支配する、人生の年輪が刻み込んだ不可知の世界を、丸谷才一ならではの巧緻きわまりない小説作法と仄かなユーモアで描き出す、第59回芥川賞受賞作の表題作。他に、「川のない街で」「男ざかり」「思想と無思想の間」の佳作三篇を収録。いずれも小説の醍醐味を味わえる、珠玉の短篇集。
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丸谷才一

丸谷 才一(まるや さいいち、1925年(大正14年)8月27日 - 2012年(平成24年)10月13日)は、日本の小説家、文芸評論家、翻訳家、随筆家。 主な作品に『笹まくら』『年の残り』『たった一人の反乱』『裏声で歌へ君が代』『女ざかり』など。文字遣いは、1966年から74年までを除いて、独自の歴史的仮名遣いを使用。日本文学の暗い私小説的な風土を批判し、軽快で知的な作品を書くことを目指した。小説の傍ら『忠臣蔵とは何か』『後鳥羽院』『文章読本』などの評論・随筆も多数発表しており、また英文学者としてジョイスの『ユリシーズ』の翻訳などにも携わった。座談や講演も多く、「文壇三大音声」の一人と自負していた。 == 経歴 == === 生い立ち === 1925年、山形県鶴岡市馬場町乙三番地にて、開業医・丸谷熊次郎(1956年死去、74歳)とその妻・千(せん。1978年死去、85歳)との間に次男として誕生。
誕生(1925-08-27) 1925年8月27日 日本・山形県鶴岡市
死没(2012-10-13) 2012年10月13日(87歳没) 日本・東京
墓地鎌倉霊園
職業小説家、文芸評論家、英文学者
言語日本語
国籍日本
教育修士(文学)
最終学歴東京大学文学部英文学科卒業同大学院人文科学研究科修士課程修了
活動期間1960年 - 2012年
ジャンル小説、評論、随筆、翻訳
代表作『笹まくら』(1966年)『年の残り』(1968年)『たった一人の反乱』
主な受賞歴芥川龍之介賞(1968年)谷崎潤一郎賞(1972年)読売文学賞(1974
パートナー根村絢子
子供根村亮(長男)
親族山本甚作(従兄弟)、落合良(甥)